第二十一話 『真田幸隆』パパになる。
すると、幸隆は「当たり前です。」とコクンとうなずいた。
業正は矢継ぎ早に「キョウの父親は、このことを知ってるんですか?」と、また幸隆に尋ねた。
幸隆は首を横にふり「コソコソ付き合ってたから、知らないです。」と言ったのだった。
業正は一瞬だけ真剣な顔をすると「......そうですか。......でも二人はお似合いです。この際、祝言をあげてみてはいかがですか?」と笑顔で言った。
このとき、一番嬉しそうにしたのは
それとは対照的に
隣の席で、それを見ていたトラは「そこでひがんでっから。モテねぇんだよ。非モテ野郎。」とタメ息混じりの小声で景持を
景持は反応するとトラによって半殺しにされる可能性があったこともあり心の中で「黙れ、ガラガラ声の非モテ女。......よし、こうなったら。」と思った。そして、ある決意を心に決めた。そう、幸隆とキョウの祝言を潰すことを。
その※一刻後。出産用に業正が用意した屋敷で。ついに幸隆の第一子である真田源太。後の真田信綱が産まれるのであった。
産まれた瞬間、付き添ってくれた※
次に手渡されたのは幸隆で涙を流し「カワイすぎるだろ。ボケ!!」と声を震わして大声をあげるのであった。
幸隆のはからいで佐太夫。そして、トラにも源太を抱くことになった。二人とも幸隆とキョウほどではないが、かなり感激している様子だった。
そして、最後に恩師の長野業正も抱くことになったが、上泉は顔が怖いため抱くことができず。彼は屋敷の外で
※一刻→二時間
※御産婆さん→妊娠時から生児の看護まで関与する者
その日の深夜。キョウの実家の
屋敷から当主でありキョウの父親であるマジメで、堅物で、融通が利かないことで知られている
そして、キョウの父親の目の前にはツバまみれになりながらもニヤついてる景持が「そうなんですよ羽尾殿。
羽尾殿は鼻息を荒くして「なるほど。景持とやらの情報に感謝する。さっそく真田幸隆を家来に頼んで、ワシの屋敷まで連行するか。けしからんクズはワシが直々に成敗いたす!!」と隣の家まで吹き飛ばす勢いの大声で叫ぶのであった。
景持の顔が、さらに汚くなったことは言うまでもない。
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