第14話 Happiness 幸福というもの 加筆修正有2021.2.26/12.26
14.
" Plan 計画 "
だけどそれは、設樂家の面々が仕組んだ壮大な計画だった。
その日、私や慎一さんが家に着くと、すでに課長も奥さんも
出先から帰宅していた。
そして課長の娘の広美ちゃんや息子の卓也くん達が2階に上がると
慎一さんも用事があるからと言って帰ってしまった。
えーっ、どういうことに・・なっちゃったんだろう、と思いつつ
少しがっかりしてしまい、ボーっとしたいたら、お茶が出された。
設樂課長のご両親と奥さん私のメンバーでお茶会?
え~っと子供たちも慎一さんもいないこの空間で間が持つだ
ろうか。
そんな事を気に掛けていたら、課長からとんでもない提案が
話題に上がった。
「黒崎さん、君は突然の話で驚くと思うけどぜひとも考えてみて欲しい
ことがあってね、それで子守と称して家に来てもらったんだよ」
私がキョトンとしていると、その話は続けられた。
「慎一との再婚を真剣に考えてみてくれないだろうか。
所謂結婚前提の付き合いを・・ってことになる。
ずっと君のことを見て来た僕が太鼓判を押して家族にも紹介させて
もらった」
そう話を進める課長の側でニコニコと穏やかな空気を纏った
ご両親と奥さん。
「もしかして、クリスマスパーティのお誘いとか、
初詣のお誘いとか・・・のことでしょうか?」
「目的もないのに既婚者の僕が独身女性を招待は・・・しないよね?」
14-2.
「え~~っ!!そうなんですか? 私はてっきり・・・」
「てっきり?」
「まぁそのですね。
単に可愛い部下として、いえっ、はっきり言いますと、バツイチで
恋人もいなさそうな寂しい思いをしているちょっと可哀想で可愛い部下を
ですね、少しのやさしさと労いを込めて誘っていただいているのだと
解釈してました」
「どう?」
課長は微笑んで奥さんの方に向けて発した。
「あなたがいいって、ほんとに感じの良い女性(ひと)なん
だって言ってたの、よく判るわぁ~。
素直でまっすぐな性格だってことがね。
黒崎さん、夫が前からうちの課にすごく良い女性(ひと)がいるんだ
めったにあんな良い女性(ひと)いないって・・皆に見せたいなぁ~
なんて、ずっと折に触れ私達に言ってたものだから私達家族はみんな
ずっと気になってたの」
「素敵な女性がいるってわいわい騒いでも、もう私という妻がいて、今更
私を返品することなんて出来ないのだからどうしようっていうのかしら?
なんて夫に意地悪言ってたりしたんですよ。」
「えーっ、そんな! 素敵な奥さんに私など敵うはずありま
せんっ~~!」
「えーえー、子持ちの親父に黒崎さんは勿体無さ過ぎて・・って
ここで自分の夫を貶めては駄目ね。
うちの旦那様もすごく素敵で私も子供達も大切にしてもらって
有難いことです」
そうおっしゃって、奥さんは課長やご両親に向かって心から
の感謝を述べられた。
やっぱり課長の素敵さは本物だったンだ。
17/12/51
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