第32話 新パーティー

「やふー!」

 ヤマトに買ってもらった。

 月ちゃん、ハナちゃん、風子ちゃん、チョウちゃんを! 新しく入った仲間は合計四人です。


「……どうしてこうなった」

 ヤマトが頭を抱えてる。 


「イヤイヤ、私ヤマト様を見誤っておりましたア! これだけ、コれだけの数をご購入頂けるとは! それにこれだけ大きい月光石をお持ちとは! フシャシャシャシャ!」

 ヘビさんは上機嫌です。


「えーと、店主さん店主さん?」

 私はヘビさんに声を描ける。

「何かな何かな生け贄さん?」

 ヘビさんが答える。ところでイケニエってなんだろ? まあどうでもいいか。


「他には姉妹の子いないの?」

「フシャシャ、おりますよおりますヨォ。ただねぇ、この商品はお高いんだよ。いくらこの大きさの月光石だとしても、四体が限界だア」

「ふーん、もっと石があれば買える?」

「勿論だよ」

 なるほど。もっと石があれば買えるのか。じゃあ店にいる全員をゲットしたい。

 コンプリートしたいのです。


「ところでヤマト様? 接続はどういたしますか、ここでなさいます?」

 ヘビさんがヤマトにすり寄る。動きが不気味だ。

 

「……ああ。ただし一体ずつだ。俺が止めろと言えば止めろ」

「ええ。畏まりました」

「それと、もしもの時の解呪は出来るか?」

「まあそれも商売ですので……出来ますが。暴走した時はどうしようも御座いません」

「そうか、その時は俺が何とかする」

「おお、それは心強い。では始める前に……少し準備をしますのでお待ちください」

 ヘビさんがスルスルと店の中に入っていく。

 

「ヒナミ……本当に大丈夫か?」

 ヤマトが小声で聞いてきた。

「んー、大丈夫だいじょうぶー」

 この子達全然イヤな感じしないし、大丈夫かなーと思います。

「もしもの時は構わず声を出せ。声がでない場合は右手を上げろ、わかったな?」

「はーい」

 ヤマトは心配性だなぁ。

 ところで。

「これから何するの?」


「ひ、ひなみ。知らずにそんな自信満々に……?」


「お待たせ致しました!」

 ヘビさんが戻ってきた。

「ではではでは。参りましょう、先ずは月番からで宜しいか?」


 月ちゃんからか……うん、良いと思います!

「よろしいです!」

 私は返事をする。

「ヒ、ヒナミ。やはり止めた方が……」

 ヤマトがなんか言ってる。でも私は気にしない。

「じゃあお願いしまーす!」


「呪野良主命呪縛羅違礼霊園令令守羅違令呪縛呪縛……」

 おおう、ヘビさんが何か唱え出した。

 本格的な感じです。


____かた、かたかた。


「ん?」

 何かカタカタ音がする。


「わぁ! 月ちゃんが動いた」

 音の方を見てびっくりした。

 月ちゃんが立ち上がっている。そして、ゆっくり私の方に歩いてきた。


「……嫌なら逃げても良いぞヒナミ?」

 ヤマトはそう言うけど、私は別に嫌じゃありません。


「おー、動けるんだね、すごいすごい!」

「……兵器だと言ったであろうが」

 月ちゃんは私の目の前まで来ると、右手を伸ばしてくる。

 何するのかなと見ていたら、そのまま右手を私の頬っぺたに当てた。


「んー、どうかした月ちゃん?」

 月ちゃんは何も言わないけど、月ちゃんの体から何か紫色のモヤモヤが出て私の体に入ってきた。


「おー、ヤマトヤマト見てみて! 何か出てる、何か入ってきてるよこれ!」

「……そうか」

 ヤマトの反応が鈍い。


 月ちゃんは不思議そうに首をかたむける。やっぱ可愛い、買って良かった。



「……フウ、繋がりましたな」 

 ヘビさんが言う。


「それでそれで? どうなるの?」

 私は聞いた。

「……命令してみろヒナミ、人形はその通り動く」


「ふーんじゃあ月ちゃん。ばんざーい、してみて」

 私もお手本に両手を上げて、ばんざいして見せる。

 

 私の格好を見て、月ちゃんは無言でばんざーいした。


「やふー! 可愛いー! 見た見たヤマト!?」

「……ああ、それで? ヒナミの体の方はどうなのだ、不調な所はないか?」

「ない!」


「……そうか」

「動けるようになるなんてスゴいねー、どんどんやっちゃって店主さん!」


「これはこれは、フシャシャシャこれほど御目出度い生け贄は始めてでございます。良い躾をされておりますな、ヤマト様?」

 

「……」

 ヤマトが無言だ。

「ヤマトヤマト、ダメだよ?」

「……ああ」

 ヤマトはいつも元気だから私は大変です。

 

 その後、他の子達も動けるようにしてもらいました。

 ヤマトと私、プラス月ちゃん姉妹四人で合計6人の新パーティになりました!

 

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