ヒートプレス

 一体どれほどの失敗を重ねたのでしょうか?

 動画で見て簡単だなぁと思っていましたが、思いの外私は苦戦を強いられました。

 これならまだパテを盛ってヤスリで削っていく作業を繰り返していた方が精神的にまだマシでしたね。

 しかし、この失敗の御蔭で私の技術は上がったと言うものです。

 失敗は決して無駄ではありません。

 ですが……やはりなるべく失敗はしたくない物です。

 失敗すればするほどお金が減っていきますので……何とも世知辛いものです。

 はい、そんな語りを入れた上で目の部分を作る方法を記載していこうと思います。

 目の部分は前項でパテで既に作っている場合は飛ばして構いませんが、見ていても損はないかと思います。

 目を作るのは、いわゆるヒートプレスと呼ばれる方法です。

 このヒートプレス、文字通り熱した後に圧を加えます。圧……というよりは押し付けるですね。型に。

 この型は粘土で造り上げましょう。目の大きさと同径の円を画用紙で作り、それを基準に粘土で半球を作ります。

 この際、一度作ってはマスクの内側から目の部分へと当てて大きすぎず、かと言って小さすぎないよう確認を取りながら作業を行う事をお勧めします。

 そうしないと、折角ヒートプレスで造り上げた目の部分がマスク部分に収まらない悲劇が発生します。

 まぁ、その場合は周りを少し切り取ればいいのですが、下手をすれば小さく切り過ぎてはまらなくなる悲劇へと繋がってしまいます。

 なので、出来るだけ型の段階で理想の大きさを作っていきましょう。

 また、粘土で造り上げた型はそのままでは凹凸がありますので、ヤスリで削って表面を滑らかにしましょう。そうする事によって、出来上がりの品は綺麗な半球体となります。

 型についてはの説明はこれくらいですかね。

 さて、目の部分になる熱を加えるものは先述の通り半透明の下敷きです。アクリル板とか塩化ビニール板が素材ですね。これらを熱する事によりぐにゃぐにゃに柔らかくなります。

 熱する際はご家庭の台所にあるガスコンロで大丈夫です。ただし、あまり火力は強過ぎないように。下手すると火傷を負います。

 火傷しないように、きちんと軍手や皮手袋をしましょう。

 この時、それなりの厚みがある物を使用しましょう。

 薄いと熱がすぐ逃げて早く元の硬さに戻ってしまいますので、下手をすると微妙な位置で止まってしまいます。

 また、薄いとガスコンロで炙っている際に熱が通り過ぎて白く濁ってしまう事があります。

 そうなると、もうそれは使えません。見栄えが悪いのは勿論の事、目の前が全く見えません。

 失敗したものは潔く捨てるか、マスクパーツの補強に使って下さい。

 熱する前段階のちょっとしたアドバイスとしては、百円均一で売っている下敷きを使用する場合は、二枚入りの物ではなく、一枚入りのものを使用しましょう。二枚入りは薄いので上記のような悲劇がいとも容易く起きてしまいますので。

 この圧を加える方法は複数あります。

 動画を参考にすると押し付ける方法と、真空にする方法があります。

 押し付ける方法は型に熱した下敷きを押し付けるだけの簡単な方法です。

 真空にする方法は、これは相応の装置を作る必要があり、私はやった事がありません。

 まぁ、分かりやすい例としましては布団の圧縮袋を想像していただければいいと思います。

 あれの要領で内部にある型の上に熱した下敷きを置き、掃除機で中の空気を吸い取って真空にして型に押し当てます。

 これの場合は専用の装置を自作する必要がありますので、少し面倒です。

 詳しい説明は作った事が無いので省きますが、真空での方法でやりたい方はそれなりの大きさの四角い箱(蓋付きのもの)と掃除機の先端と同じ直径の穴をあける為のカッターを用意し、隙間の無いように作り上げましょう。

 私がやっているのは押し付ける方法です。

 ただ熱したものを押し付けるだけでは、押し付ける力が均等にならず、偏った形になってしまいますので、一工夫が必要です。

 その一工夫と言うのが、額縁です。

 百円均一で売っているので、それを買いましょう。大きさはA4サイズの物が入るものですね。

 更にアルミテープも買いましょう。これも百円均一で売っていますので、同時に買ってしまった方が手間が省けますね。

 額縁とアルミテープで何をするのか? 下敷きを固定するのです。

 額縁に下敷きを当て、周りをアルミテープでがっちりと固定しましょう。

 こうする事により、押し付ける力が均等に分散し、真っ直ぐと押し当てる事が出来ます。

 ただ、この時にアルミテープでがっちりと固定出来なかった場合は、押し当てる際に剥がれてしまい、変に歪んでしまう事があります。

 はい、ここに書いたと言う事は実際にそうなりました。ですので、アルミテープはきっちりがっちりと貼り付けて動かないようにしっかり固定しましょう。

 よりがっちりと下敷きを固定させたい方には。釘を打ち付ける方法がありますね。

 下敷きと額縁を釘で打ち付けるので、アルミテープで張り付けるよりもしっかり固定されます。

 ただし、額縁が壊れる可能性があるので、もし釘打ちをするのであれば、厚みのある額縁を買うか、専用の木枠を自作する事をお勧めします。

 はい、ではもろもろの準備が終わったら早速ヒートプレスを始めましょう。

 まずは、作り終えた型をスプレー缶や裏返した取っ手の無いコップの上に置きましょう。

 こうする事によって、テーブルや床に型を直接置くよりもしっかりと型通りにヒートプレスが出来ます。

 事前にそうしておいてから、下敷きを額縁に貼り付け、ガスコンロで炙って行きましょう。その際、きちんと換気扇は回すようにしましょう。

 下敷きは全体を万遍無く熱していきましょうね。少しくらいは火力は強めでもいいですが、あまり強くし過ぎると濁る可能性があるので注意して下さい。

 熱すると次第に柔らかくなって下に少し垂れて行きます。下敷きを上下に振って、全体がたゆんたゆんと震えるくらいになったらガスコンロから下ろし、急いで型に押し付けます。

 ぎゅぅっと押し付けますが、それなりに力を強くやりましょう。ただし、強く力を入れ過ぎるとアルミテープが剥がれてしまいますので、力加減は意外と難しいかもしれません。

 まぁ、徐々に力を強くして行けば失敗する事はないでしょう。

 押し付ける際ですが、多く見積もっても三十秒は押し付けておきましょう。余り早い段階でやめますと、まだ柔らかい可能性があり、微妙に歪んでしまい上手く型通りの形になりません。

 きっちり冷めるまで押し当てれば、ヒートプレスは終了です。これにて目の部分は出来上がります。

 下敷きを綺麗に切り取り、マスクの目の部分にあてて、ほぼピッタリならそのまま使いましょう。小さかったら、もう一度頑張りましょうね。

 さて、そのまま貼り付けてもいいのですが、そうすると外側から自分の顔が見えてしまいます。

 目の部分から自分の顔が見えてしまうのは、見栄えがとても悪いです。

 外から自分の顔が見えにくくするには、いくつか方法があります。

 一つはミラーフィルムを張り付ける事です。

 このミラーフィルムはいわゆるマジックミラー仕立てにする方法ですね。こうする事により、光が当たる方からは鏡となり、内側が見えなくなります。

 ただし、このミラーフィルムは一昔前なら百円均一で売っていたのですが、今は存在しないそうです。ホームセンターでそれなりの長さの物が千円くらいで売っていますが、下手すると長いものしか置いておらず、そうなると二千円くらいになりますので、お財布事情的にもあまり御勧めはしません。

 張り付けるのにもちょっと面倒そうだったので、私はミラーフィルムは使用していません。

 他には小さな丸い穴の開いたアルミ板を張り付ける方法があります。これは丸い穴から外を見る感じになりますね。

 こちらもホームセンターで売っていますが、私はこの方法もやっていません。

 私がやっているのは、ホログラムシートを張り付ける方法です。

 百円均一で五種類の色が三枚ずつ、計十五枚入りの無数の三角形が散りばめられた折り紙サイズのものが売っていますので、私はそれを使用しています。

 このホログラムシート、ミラーフィルムと似たような効果があります。ただし、キラキラとしている分ミラーフィルムよりは見にくいかもしれません。

 それでも百八円で、失敗しても予備がいくつも存在するのでコストパフォーマンスはいい筈です。

 このホログラムシートは色が五種類ありますが、裏側は決まって銀色ですので、そちらが表側になるように貼り付ければどのホログラムシートでも使用出来ます。

 ホログラムシートを張り付ける際は接着剤を万遍無く塗るのではなく、端っこだけに塗って接着しましょう。万遍無く塗ってしまいますと接着剤の影響で視界が歪んでしまったり、見えなくなってしまう場合がありますので。

 接着剤を使わずに、セロハンテープでも構いませんが、ちょっと見栄えが悪くなりますね。

 場合によっては、透明なプラ板にホログラムシートを張り付け、それをヒートプレスしたものよりも少しだけ大きめに切り、それを接着する方が見栄えがいいかもしれませんね。

 ホログラムシートを張り付ければ、今度こそ目の部分は完成です。マスクに取り付けましょう。接着剤で二度と取り外せないようにしてもかまいませんし、フォームチェンジを念頭に置く場合はセロハンテープやマジックテープ、磁石等で取り外し可能にしておきましょう。

 黒い部分から視界を確保したい型は、百円均一で売っているサンバイザーをその部分にきっちりはまるように切り取って貼り付けましょう。



 次は……そうですね。ジョイントマット等で作ったパーツにスプレーで色をつせる際の注意事項をいくつか述べて行こうと思います。

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