OPERATION β

早速、互いの動きを確認した後、あたし達とROXYは二手に別れることにした。


「じゃあROXY、後でGPSで合流ね。」

あたしはGPSをROXYに手渡した。


「オペレーションβね、OKよ!」

どうやら作戦名がよっぽど気に入ったらしい。ドヤ顔で顎をしゃくってみせて、意気揚々と姿を消した。



「なかなかユニークなキャラクターだな。キミのバディは?」

ジャスティンが愉快そうに笑いかけてくる。


「フフ単純だけど悪い奴じゃないわ。さあ、あたし達も出発しましょう!」

あたしは彼を促すと、脱いでいたCANDY HEARTのトレードマークの刺繍を施したスカジャンを肩に背負った。


「いくらなんでもキューバでスカジャンは暑くないのか?」

ジャスティンが目を丸くする。


「暑いに決まってるじゃない。でも主人公にはトレードマークのアイテムは欠かせないでしょ?」

あのインディー・ジョーンズだって、冒険中には革ジャン脱いだりしないものね。


「そりゃまあ映画の世界ならね。でもキミはメイキングカメラを連れてきてる訳じゃないだろう?」


「カメラが回ってる回ってないかは問題じゃないわ。あたしがCANDY HEARTであり続けることが重要なんだから。」

そう。銀幕のスターが消えた今、あたしこそが彼女の魂を受け継いだ唯一無二の存在なのだから。

・・・でも、そろそろオリジナルのTシャツでも作ろうかしら、と本気で考えている。だってめちゃめちゃ暑いんだもん!



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CANDY HEART 赤松 帝 @TO-Y

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