ONE SHOT, TWO KILLS

「墜ちたドローンを回収して直ぐに解析させよう。」

会長は、腕時計に内蔵されたウォーキートーキーを通じて、直属の部下に指示を出した。


ここから視た感じでは、ジンバルに搭載されていたあの手の超小型カメラの性能ならば、あたしの知る限り、映像は本体には記録されず、WiFiで無線伝送されるだけだろう。

伝送の最中ならいざ知らず、今これからでは恐らく追跡は不可能に違いない。

よもやカメラやドローン自体に指紋をわざわざ残しておくなどという、出血大サービスをしてくれる様な敵でもないだろう。

両方撃ち落としてしまったのは、もしかするとあたしの早計だったかも知れない。

しばらく泳がせておき、その間に伝送先を追跡するという手段も取れなかった訳ではない。

とはいえ、それも撃墜してみての結果論でしかないのだし、済んだことを今更悔いても仕方ない。

ポジティブ・シンキングは、トレジャー・ハンターに求められる重要な資質なのだ。



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