ON THE BEACH

波打ち際まで来たところで、ROXYがビーチで砂の城を作って遊んでいる子供達を呼び寄せた。


「ねぇちょっとあんた達、お姉さん達が海の向こう側から泳いで来たこのマット欲しくない?」


「欲しい!欲しい!」

「何処から来たの?」

「タダなら貰ってもいいよ!」


ゲンキンな子どもらは口々に叫ぶ。


「お姉ちゃん達はね、日本から泳いで来たのよ。」

あたしも調子に乗ってに大ボラを吹く。


「ニッポンから!?」

「スゲー!スーパーサイヤ人だ!」

「違うよ。仮面ライダーだよ!」

「だって金髪じゃん!」


お前もな!と大人気ないツッコミを我慢しつつ、アメリカのキッズたちを見事に毒す事に成功しているクールジャパン戦略の影響力に驚く。

そんなあたしの頭の中の思考を読み取ったのか、ROXYは

『あんたが言うな!』

という目でジロリ眺めてくる。

ま、まあね。そういうあたしは2代目CANDY HEART。ハリウッド映画に見事に毒された女よ。


「わかったわ。じゃあホラ、このスーパーマットをあんた達にあげるから、みんなで仲良く遊びなさい。」

ROXYが不要となったパラグライダーの処分に成功した。


「あ、それとね、地球を半周もしちゃったから、もうあんまりエネルギー残ってないの。よいこは危ないから絶対沖に出ちゃダメよ!いいわね?」

ヒーローアニメのお約束、あたしは一応念押ししておいた。


「わかったよう、スーパーサイヤ人の姉ちゃん!」

誰がスーパーサイヤ人だ!


「約束よ!」

それでもあたしはサムアップしてウインクしてみせた。

勘違いとはいえ、人気者は辛いわ。



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