ON THE BEACH

しばらく経って、ようやく海水浴客がちらほら浮かんでいる遠浅のビーチ付近にまで辿り着いた。

ここまで一言も発することなく無言のまま黙々と泳ぎ続けてきたあたし達。

まるで永遠にも感じられる苦行の様だったけれど、どうやら端から観るとイイ女がふたり仲良くエアマットではしゃいでいる様にしか見えないらしい。

あたしも途中で暑苦しいライフジャケットを脱ぎ、セクシーなタンクトップとホットパンツ姿になっていたもんだから、尚更かもしれない。

見るからに尻軽そうな連中が、周りから口笛を吹いたり、嬌声を浴びせ掛けてくる。

馬鹿を相手にしている時間はないので無視を決め込んでいたところ、中でもとびきり頭の悪そうな男が卑猥な言葉をはいてきた。

キレかけたROXYが短銃を防水ポーチから抜き出そうとするもんだから、あたしは慌てて男を追い払わなければならなかった。

冗談じゃない、このままふたり仲良くブタ箱にぶち込まれたりされてたまるもんですか!

あたしはROXYを急かすと、猛烈な勢いで両脚をバタつかせた。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る