TOP SECRET

ルームサービスで頼んだモーニングのトーストを頬張っていると、またLINDAからのチャット・メッセージが届いた。


ん?早いわね。そんなに急いで出発出来るワケないじゃないの!

あたしは慌ててトーストの欠片をカフェオレで流し込むと、スマートフォンを手に取り、自動音声読み上げ機能をONにした。


『CANDY、会長が電話が盗聴されている可能性があるので、直接メッセンジャーで伝えたいそうだ。今からここに招待するからな。』

機械的な電子音声がスピーカーから語りかけて来る。


あら珍しい。

チャットでトリプルビルの親父さんとやり取りするのは初めての経験だ。


『おはようCANDY、朝早くから押しかけてすまない。』

会長が気さくに挨拶を交わす。


「おはようございます。もう起きてたから気にしないで。」

嘘も方便である。

ちなみにあたしの喋った音声は、マイクで拾われると、リアルタイムに画面上で文字に変換される。まったく便利な世の中よね。


『ではお言葉に甘えさせて貰うとしよう。実は24時間前から我々WTHAのWEBサイトが、何者かによってハッキング攻撃を受け、厳重なファイアーウォールが破られ危険に晒された。ギリギリの所でサイバー担当の者が気づいたおかげで、コードを変更し、重大情報の流出までは未然に防ぐことが出来た。幸いにも私の個人PCや電話もオフラインにしておいた為、無事だったのだが・・・。』



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