ONE NIGHT LOVE AFFAIR

昼間は気温が摂氏50度を超え、夜半になると零度を下回る寒暖差の激しい砂漠から、文字通り命辛々生還を果たしたあたしは、尋常なく喉が渇いていた。

グラスまで一緒に飲み干してしまいそうな勢いで、お代わりのモヒートを一気に空にすると、ようやく生き返った気がした。



「ヘイCANDY」


「ン?」



カウンターの中のバーテンダーが初対面な割りに気安く声を掛けて来た。



「奥の客からのおごりだよ。」

あたしの前に紅い泡が溢れんばかりに注がれたレッドアイのタンブラーを無造作に置くと、バーテンは空になったグラスを下げていった。

彼が顎で指していった方向に視線を注ぐと、オフホワイトのリネンシャツを小粋に羽織った若い男が、同じく並々と注がれたレッドアイのタンブラーをこちらに向けて軽く傾けて寄越した。

まあいいわ遠慮なく戴きましょ、あたしも会釈をしつつタンブラーを掲げると、彼に乾杯を返した。



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