4頁目「くまのふ」

 山に修行に入ったら、二本足で仁王立ちするパンダがいた。


「――人間よ。なに用か」


「最強になるために、貴様を斃す」


 そう。俺が目指すのは最強。それだけだ。


「愚かなり」


 パンダが腰に帯びた刀を抜いた。


「我が魔剣、笹錦ささにしきの露と化せ」


 見た事のない刀身。


 緑色だからだ。さらに七支刀のように枝分かれしている。


「――ただの笹じゃねーか」


「我が奥義、その身で味わうが良い」


「いいぜ、かかってこいよ」


「……」


 ばりばりばりばり、むしゃむしゃむしゃむしゃ、もさもさもさもさ。


「笹ウメェ」


「……」


「わかったか、若者よ。戦いなぞ、むなしいだけであろう」


「……」


「じゃあの」


「………………?」



 完。

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