第12話

「要するにサクは槍を振り回して戦うのね。それで変身したり必殺技を出したりするときには『アーカイブの何とかかんとか』って言うのよね?」

「俺は、俺は銃で戦うんだよな。どばばばばーん。って、打てばいいんだろ?サクと同じで『アーカイブの何とかかんとか』って言うんだよな?」

「最後の私は魔法少女ってことだよね?」

さくらは小春こはるが魔法少女だと聞き口を尖らせたが私のほうがすごいんだよ。

など魔法少女と争っている。

そこに入れない春翔はるととシルクはため息をつきながら話を進めていく。

「それでお主たちはあのようなやつらと戦うのじゃ」

シルクが指した先にはハルくんが割った水晶から出て来たモンスターたちだった。

そのモンスターはビーストと言うらしい。

弱そうなビーストもたくさんいるが、緑・黄・白・茶・黄土色の熊のような姿のビーストもいるもいる。

そのビーストはヴェアハノンと呼ばれるボスらしい。

そのビーストを倒すために教えてもらっていたとは・・・・・わかっていたがいざ言われてみると恐怖を感じる。

「倒したら、魔女娘まじょっこお主が封印するのじゃ」

「っえ?わたし?」

小春は自分がそんな重要なことを任されて不安な表情を浮かべている。

「そうじゃ。魔女娘よ、よく聞け。『アーカイブの記録を頼り我に力を。封印されよ○○。そして我とともに戦へ。長き眠りにつけ!』と唱えてからステッキをヴェアハノンの魂に向けるのじゃ。そうするとあのように封印されていくのじゃ」

そこでまた時間切れと表すかのように消えていった。

「ゴホン。まだお主らは未熟でRPGのゲームで例えるとレベル一のひよっこじゃ。だから、魔女娘にはマグマの力、やり使いには星の力、そして銃使いには命中率を上げるこの弾丸をやろう。これは今あの戦士が獲得した力じゃから持っているが他の能力はお前さん方が自分でゲットしていくのじゃよ。お主ら頑張るのじゃぞ。まだ若いんだから―――――」


私たちは自分たちの時間に帰ってきた。

「やっと自分の時間に帰ってこれたね」

「うん。でもこれじゃあね」

「俺たちでやっちゃいますか」

だって私たちの周りにはビーストがうじゃうじゃいるのだもん。

箱の中に入っていた自分の道具の使い方の書いてある図鑑のように大きな資料を手にし、

「アーカイブの記録を頼りマグマよ我に力を」

「アーカイブの記録を頼り槍よ我に力を」

「アーカイブの記録を頼り銃よ我に力を」

三人は変身した。

私の髪は赤髪に変わり衣装は赤く可愛くなっていた。

まるで火の聖霊みたいだ。

赤毛で魔女帽子にマントにステッキ。

魔法のほうきがないのはちょっぴり残念だけどこれもこれで可愛いからいいのだ。

サクちゃんは抽象的に言うと全身黄色くなった。髪はもともと金髪なのは変わらないけどツインテールになっていた。

服はフリフリの黄色いワンピースに白いタイツ。

白い槍のところどころに黄色いお星さまがついていてあの槍も可愛い。

ハルくんは黒いスーツのような姿で髪には白い横縞線が三本ほど見える。

銃は黒い銃だ。

ブラジルのトーラス社が開発した大型リボルバーであるトーラス・レイジングブルの形に似ていてカッコいい。

三人はシルクから教わったことを発揮しようとする。

「まずは私から」

小春は勢いよく飛び出した。そして、

「マントルからいでし炎よ今こそ我に力を。“FLAME GRACE”」

本来なら巨大な高温で球体のマグマが小春の頭上に出てきてそれを放つのだがそんなことをしたらこの宮殿が無くなってしまう。

だから今は球体を小さくして数多く作った。

そしてその球を相手めがけてはなっていく。

初めてとは思わないくらい上手に出来た。

球もすべて当たっているし小春のテンションもMAXだ。

それでもたまにズッコケたりもする。

その時はなぜかビーストが優しく起こしてくれる。

なぜだろう。

起こしてくれたビーストには悪いが腹にパンチを喰らわせた。

その後マグマの球をあてた。

そのビーストはドーンと大きな音を立てて爆発した?いや一回り小さくなってまた復活していた。

何度続いたのだろうか。

まるでマトリヨーシカのようだった。

最終的に幼稚園年長さんくらいまで小さくなっていた。

他のビーストも同じようになるのかと心配したがこの現象が起きたのはあの一体のビーストだけであった。

小春はその後もマグマの球を使いこの部屋にいたビーストをすべて一人で倒した。

「すごいじゃない。次は私の番」

そういってさくら次の部屋へと向かう。


この部屋にもたくさんいる。

残り何体なのだろうか。

さくらは槍で相手を倒していく。

初めシルクに習っていたころは槍を上手く回すことが出来ず目の前の敵を突く事しかできなかったのだが今ではバトンのように軽く回している。

これもシルクのお蔭だろう。

たまに調子にのって槍を落としてしまう。

その時はなぜかビーストが拾ってくれるのだ。

ビーストって根はやさしいモンスターなのではないかと錯覚に陥るが人間とは共存できなさそうだ。

なぜなら槍を渡してくれた後に一発腹を殴られたからだ。

さっき小春に殴られたビーストのお返しよと言わんばかりにだ。

「大丈夫サクちゃん?」

「大丈夫よ。このぐらい。なんてこともないんだから」

さくらは立ち上がりそのビーストに向かって槍を向けそのまま突進していった。

そのビートルはジャンプしよけようとしたがバトンのようにさくらは槍を回しビーストを貫いた。

そしてその他にうじゃうじゃといるビーストには、

「黄色いスターは危ないゾ ☆ 輝け“SHINING STARS“」

槍についていたたくさんの星が槍の先端の槍頭についた。

槍頭はどんどん大きくなり天上についてしまった。

その槍をビーストに向けて振り落す。

その部屋にいたビーストはすべて天へ召されたのだろう。

「すごいよ、サクちゃん。一人であんなにいた敵を倒しちゃうなんて」

「小春のだって同じでしょ。でも、ありがとう」

「最後は俺だな」


春翔の向かった部屋が最後みたいだ。

ほかに部屋はない。

「俺がやってやるぜ」

勢いよく飛び第していった春翔だが顔色を悪くして帰ってきた。

「何やってんの。ハルくん。早く倒して帰ろうよ」

「そうよ。小春の言う通りだよ」

春翔は体をドアの方へ向けようとしない。

その理由が気になり小春はそのドアを開けた。

すると中にいたのは今までのビーストとは形もオーラも違うもビーストがいた。

そのビーストは熊の形をしたヴェアハノンだった。

緑・茶色の二匹のヴェアハノンがいた。

何かを言っているように感じる。

多分中で何か呪文を唱えているのだと思う。

すると二匹のそばにあった黄色い魂から黄色いヴェアハノンが飛び出て来た。

白色の魂がまだ床に落ちているのに小春は気づいた。

この中から一体ものヴェアハノンが出てきては大変だと思い小春は二人の所に行き説明した。

「・・・・・・・・・・・・だから、今戦おう。ここまで出来たんだから大丈夫だよ、ね?」

二人にはためらいが見えたが小春のこの状況での屈託のない笑顔に負け戦うことを決意した。

「しょうがないわね。私も戦うわ」

「俺たちが開けちゃったからな。ならやることは一つだな」

初めは顔色悪くして帰ってきた春翔だが今ではさっきの顔が嘘のようにヤル気に満ちている。


改めて三人はヴェアハノンのいる部屋に入って行った。

「じゃまするぞ」

中には三体のヴェアハノンがこちらを見てきたが・・・・・

「今は忙しいんだ。邪魔するなら帰って」

などと相手にすらしてくれない。

そのことが嫌だったのかヴェアハノンが増えるのが嫌だったのか分からないが春翔は三体の龍の輪の中に入り魂を奪って帰ってきた。

魂だから奪うも何も無理なんじゃないかと思っているかもしれませんがハルくんはちゃんと奪ってきていた。

やり方は簡単。

魂を吸い込んだのです。

「ハルくんナイス♡」

目をキラキラさせながら小春は言ったが春翔には軽くあしらわれてしまった。

三体のヴェアハノンたちは奪われたのなら仕方がないと壁に穴をあけそこから逃げて行ってしまった。

あの巨体な体ならすぐに追いつけると思ったのだが思った以上に逃げ足が速かった。

そうして私たちは普通の小学生から勇者としてビーストからこの街を守ることになった。

春翔の吸った魂はハルくんから出ようとしているので小春がその魂に封印をかけた。

「アーカイブの記録を頼り我に力を。封印されよ○○。そして我とともに戦へ。長き眠りにつけ!」

するとその魂は銃弾と形を変えた。

同時に小春のステッキとさくらの槍は光を放ち始めた。

「え、なにどういうこと?」

何がどうなのか分からない二人は光が消えるまであたふたしていた。

春翔は冷静に銃弾を銃のシリンダーにセットした。

その銃弾はシルクからもらった命中率を上げる能力ではなく、スピードを上げるための能力だった。


そしてこの宮殿を本拠地として戦うことにした。

「せっかくの基地だし名前付けようぜ」

春翔の意見に反対者はいなかった。

「と言っても、もお名前決めちゃったんだけどな」

「なになに?どんなの」

「カッコいいのね」

春翔は胸を張り宮殿を指さしながら言った。

『放課後の宮殿。』と。

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