第30話 全米連邦 チリ州 サンティアゴ市 ソーホー街
サンティアゴ市内に尚も戒厳令のサイレンが鳴り響く 街は外のネオン照明街灯車両電子機器がスパークし吹き飛び、足元に散乱しては、観光地とは思えぬ程見る影も無し
壁伝いに必死に逃げるブロンドの初老の男
「ハアハア、」息が切れては踞り、ネオン照明の破片が掌に刺さる
黒いスーツの男達が通りから次々合流し、囲まれるブロンドの初老の男、掌から流れる血もそのままに
広瀬、前に進み出ては
「御老人、もう逃げるのはやめましょう」
初老の男、息を切らしては
「お前等、第二次世界大戦から何年経った、儂を捕まえても他の誰が証言する、状況証拠では何も裁けまい」
広瀬、襟を正しては
「それは是非共、デン・ハーグ統合軍事裁判所の法廷での証言をお願いします、アドルフ・ヒトラー元総統、名前を呼ぶには無粋ですが敢えて呼びましょう」
初老の男、不敵な笑み
「ふん、その名久しいな、良かろう、死刑にしなければ、取引には応じよう」
広瀬、尚も
「さすがにシオン福音国が怖いですか、かなり合理的なお考えの方だ そう、私達は無慈悲では有りませんよ」
ブロンドの初老の男、慄然と
「ああ、逃げるのに必死さ、ただ私の話はしっかり記録して貰うぞ、今や第二次世界大戦を語れるのは儂だけだ、しっかりだ、一字一句も間違えるな、」大仰に指を何度も差すも、指の震えが止まらず
黒服の男達、ワルサーPPKエレクトロを構え
「やはり、今撃ち抜くべきです」
「同胞には幾らでも言い訳出来ます」
広瀬、𠮟咤
「逸るな」屈んでは、ブロンドの初老の男の髪をむんずとは掴む「喋るのは質問の答えだけで結構です、胸くそが悪い」一気にブロンドの髪の毛を引き抜く
前に出る黒服の男がハンカチで髪の毛を恭しく畳む
広瀬、ただぐるり見渡し
「こいつの為に、南米の楽園が台無しだ さて、どうする」只嘆息
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