第19話 2087年9月20日 全米連邦 チリ州 サンティアゴ市 プラザコースト スイートルーム1503号室
美久里のスイートルーム1503号室に招かれた花彩 話題は一部のセレブしか接続出来ないパラレルインターネットの話題へ
美久里、スマホのApple製iParentをフリックしては
「こうして検索するとパラレルインターネットも情報が少ないのね、インターネットから完全移行はさすがに補完出来ないのね」
花彩、不意に
「buzzの横浜スタジアムライブって噂の域ですよね」
美久里、思い浮かべては
「そう、buzzのライブを生で見た事あるけど、壮観だったわね、」
花彩、興奮気味に
「おお、さすが生き証人ですね、本当に人が集まってコンサート見れるなんて、安全な時代だったんですね」
美久里、感慨深気に
「そうね見せたいわ、インターネットなら…は駄目か」
花彩、思い描いては
「インターネット?名古屋のシャチホコーバレーにも行きましたけど閲覧権限厳しすぎて、禄に見れなかったですよ、あの時代は動画とか音楽とか、何でも見たり聞いたり出来たのですよね」
美久里、慌てふためく
「そうそう、そうね、今は権限厳しいものね」
花彩、訝し気に
「何慌ててるんですか」
美久里、溜息混じりに
「まあ、ここだけの話ウイルス対策が後手後手らしいのよ 本当にアクセス出来るのはセレブでも、かなり上の人よ 確かに人を絞ればハッカーなんて存在しないわね」
花彩、感慨もひとしおに
「おお、極悪人のハッカーですか、そんな人もいたのですね」
美久里、溜息混じりに
「そう、知識が高じて簡単に犯罪に手を染める人が結構多かったのよ」
花彩、頻りに悔し顔で
「もう、そのおかげでbuzz見れないなんて、うーん、そうだスイートのスピーカーなら音楽聞き放題なんですよ、buzz歌いましょうよ」
美久里、腕まくりの勢いで
「いいわね、“ウルトラジャンプ”お願い」嬉々と
buzzを歌い尽くして、満足げの二人
花彩、美久里に圧倒されては
「さすが体験者さんです、感服しました さて、長居しましたね」
美久里、花彩の手をぎゅっと握っては
「いやいや、ちょっと待って、ねえ、まだちょっとしかお話してないわよ」
花彩、ファイティングポーズで
「でも美久里さんの事は、もうおおよそ分かりました 一橋銀行、私も口座作りますね」
美久里、未だ離さず
「いやーそうじゃなくて、でも、そうだワゴンズ聞きましょう、1960年代のマンチェスターサウンド最高よね、お父さんからのCDからコンバートしたのあるわよ」iParentにタッチする
花彩、iParentから流れる音に感銘
「おお、iParentから音が、この本体からでも楽器の音が分離して聞こえるとは高品質すぎますよ、本当骨董品じゃないんですね それでワゴンズ、この音の鳴り方は正にオリジナルですね 巷に溢れるコピーバンドの再商品化では無いのが確と分かります」
美久里、満面の笑みで
「ふふ、iParentも部品こま目に替えては未だ現役よ、それで低温治療カプセルに眠る前の音声コンバートファイルも残ってるから貴重ね、“アクロス・ザ・スペース”聞くと何もかも忘れるのよね」
iParentからの音、アルバム全曲が完全に終る
花彩、淡々と
「それでは私はこれで」
美久里、尚も縋る
「ちょっと待った、」
花彩、伺っては
「あのー美久里さん、ひょっとして眠るのが怖いんですね、私の母もそうみたいです 低温治療カプセルが長いとそうなのですね、実家にいると母と寝ていますよ」
美久里、照れ隠ししては
「へへー、分かってるんだけど、本当に起きれるか怖くてね、相談してもそれはカウンセリングの対象じゃないと軽く一蹴よ」
花彩、微笑
「美久里さん、いいですよ、私隣りのベッドで寝ますね」
美久里、片方の広いベッドに飛び込み、巨大白猫のぬいぐるみを抱く
「有り難い、助かった、」
花彩、尚も笑み
「美久里さんの旦那様は、頻繁に残業が有る人は選べませんね」
美久里、一人ではしゃぐ
「ふふん、武士に残業は無いかな」
花彩、笑みが溢れる
「武士さん、人気者ですもんね 家に道場作れば、きっと落ち着きますよ」
美久里、遠い視線
「道場か、頑張ってリフォームしようかな」
花彩、伺っては
「いいですね、全米は広くて」
美久里、物憂げに
「広いのもどうよね」
花彩、一礼
「美久里さん御家族、もういないんですよね、悪い事聞きましたね」
美久里、微笑
「この時代にどこの家族も揃ってるなんて本当少ないでしょう、贅沢は言えないわ」裏腹に視線が漲る
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