P.S.

 身体を起こす。

つい数刻前までのいた空間は、時が止まったように沈んでいた。


 窓を開ける。

薄暗闇に、光が満ちた。

風が涼やかな光の隙間を縫って、心地よい空気を室内に運んでくれた。


 息を、吸い込む。

一仕事した後の身体に酸素が染み渡り、朦朧とした意識は霧となって消えた。


 足音に、振り返る。

元気のよい足音。聞き馴染んだ明るい声。


 扉が、開いた。

用件は聞くまでもなかった。



 獲物を誇るように掲げた、金髪の美人の手。

その細い指に挟まれて、の表紙に、白い紙が挟まっている――。




        ――幻想世界の診療所 完









































Presented by 月刊 神のMIWAZA編集部

幻想探訪課長 由江


本誌では神秘課の記者を募集しております。

世の中に蔓延る不自然なエネルギーを解決するための記事を一緒に作りませんか?

ご興味のある方、詳しくは本誌編集部までご連絡ください。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

幻想世界の心療所 ―ぶっちゃけ告解室でよくね― たり @euth

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ