続、決意

一月経っても半年経っても一年経っても

男はいない

男はどこにも見つからない


得体の知れない娘を見つめて

塔に閉じ込めた娘を見つめて

王は独り考える

いっそ殺してしまおうか

いやいやそれは悪いだろう


なぜなら

なぜなら

怖いから

人を殺すなんて怖いから


ああ


そうだ


永く永く眠らせよう


永い永い眠りに誘う

素敵な魔法を使える魔女が

どこかにいないものかしら


ぐるりぐるり

太陽が

10回巡ったとある朝

しとりしとり

雨の中

小柄な男を引き連れて


一人の魔女が訪れた


瞼重たげに閉じたまま

真っ赤な唇歪ませ微笑み

優しい声音で王に問う


この国に

死なない男はいませんか?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る