第2話 様々な出会い

「目覚めなさい、選ばれしもの、アオよ」


うるさいなー


「目覚めなさい」


ああうるさい、誰だよ、人がいい気分で寝てるっつうのに。


「うるさいなーもう少し寝かせてくれよ、疲れてるんだかさー」


アオは眠そうに答える。


・・・・・・・・・・・


「今から3つ数えるうちに起きないと永遠の眠りにつかせるからな」


俺の耳元でバチバチと音が聞こえる。


おそらくスタンガンか、なんかだろう。とりあえずやばそうだ。


血の気が一気に引いていく。


「はいいいいい、すいませんでしたああああ」


アオは慌てて目覚め、声が聞こえた方に土下座する。


「ん?」アオが顔を上げると・・・・・・


そこに見えたのは、見渡す限りの花畑だった。


「あれ、俺花畑で寝てたっけ、すっごい空キレイだし、おかしいなー、確か高電弾を受けて・・・」


「衝撃でビルから落ちて死んだんですよ、あなたは」


さっき聞こえた同じ声の女性が言う。


「はい?今なんと?」


「ですからあなたは死んだんです」


「・・・・え?死んだ?」


「はい」


カラフルな衣装を着た女性が笑顔で答える。


「ええええええええ!!」


頭がパニックになる


「what?!え・・・・・俺死んじゃったの!?」


「はい、残念ながら」


「じゃ、じゃあんたはもしかして・・・死んだ

人の前に現れるっていう・・・」


「はい御察しの通り、女神です」


女神は笑顔で答えた。


(なんで笑顔なんだこいつは・・・)


(と言うか、女神様ってホントにいたのか・・・)


(やばい、おれの夢が~、ナイスバディのお姉ちゃんたちと一緒に暮らす夢が~!!)


「うわ・・・、まじきも・・・・」


(?!)


アオは、今の一言で凹むというより、正気に戻った。


「で、これから俺はどうなるんだ?」


「まー、とりあえずはですね、普通なら三途の川を渡ってもらいますが、あなたには特別にチャンスを与えましょう」


「え?チャンス?」


「はい、まだあなたは三途の川を渡っていません、なので今のあなたは、仮死状態ということになります」


「まだ生き返れるってことか!」


「呑み込みが早いですね、そのとおりです。

そこであなたには特別に、1つだけ能力を与え、生き返らせてあげます」


「能力?」


「はい、なにが出るかは運次第です」


そう言って女神は箱を取り出した。


「テテテテン!、マジカルボックス〜!」


(昔の某国民的大人気アニメの、青い猫型ロボットみたいだ・・しかも、かなり古い方の・・・)


「では、いきますよ〜」


(くじ引きかよ!、しかもお前が引くんかい!)


女神が箱に手を突っ込む、そしてその手を高く上げ、持っていた紙を確認する。


「パンパカパーン、おめでとうございます。

あなたの能力は<対象の時間の流れを変える能力>なりました。」


「対象の時間の流れを変える能力?」


「はい、では、またー」


「えっ、ちょっと説明なし?!こうゆうのってゲームだと説明とか、チュートリアルとかあるだろ!普通!」


「はい~、つべこべ言わない。さようなら~」


アオの立っていた所に穴ができ、そのまま落ちてしまった。


「うぎゃああああああ、落ちるー」


「うわぁぁぁぁ」


--------        ----------

「うわぁぁぁぁ」


アオは再び目覚めた。


どうやらここはもといた世界のようだ。


(さっきのは夢だったのか?)


上を見上げるとビルの屋上から煙が出ている。


(俺がくらったのは、「高電弾」、高圧の電気を発生させ、爆発を起こす対人兵器だ)


(そんなものをくらって、ビルの屋上から落ちても生きてるのか、やっぱりさっきの女神との会話は、リアルに体験したことだったのか?)


アオはゆっくりと立ち上がり屋上を見上げる。


しかしこの時、銃口がアオに向けられていることを、アオは気付いていなかった。


パーーン


・・・


もはや廃墟と化した基地に一発の銃声が鳴り響いた。

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グリーンアース社施設南門前


「コトーーーーー!」


もはや基地と言えるのかわからない施設の周りを夢人は歩いていた。


辺りには、ここを襲ったと思われる全身黒の服を着ている兵士が倒れている。


なぜか、グリーンアース社の戦闘員の姿はない。


(コトはここを襲った奴らに連れて行かれたのか?でもどうしてコトだけが・・・それにグリーンアース社の戦闘員はどこへ・・・それにしてもひろいな・・・・・)


パーーン!!


すぐ近くの方から銃声が聞こえる。


(なんだ?!)


急いで音のした方に走り出し、建物の陰に隠れながら覗き込む。


・・・


そこには、銃を持った青年と、怯えて両手を上げている全身黒の兵士がいた。


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(やばい、死ぬ)


アオは、銃声が聞こえた瞬間、何が起きたのかわからない感覚とともに、死を覚悟し、目を閉じた。


(あれ?)


アオは、顔を上げ、銃声がしたほうに顔を向けた。


アオに打たれた弾丸は、まるでスローモーションのようにこちらに向かって来ていた。


(なんだこれは?これがあの、女神が言っていたなのか?)


アオは、その弾丸をゆっくりと見ながら、避ける。


避け終わった瞬間、時間の速さが元に戻った。

弾丸が、後ろの壁にめり込む。


反射的に、アオは銃を構える。


「な、な、なんだと!!この距離で避けただと?!」


銃を撃ったと思われるブルーアップルの兵士が驚いている。


「手を上げろ!!」


ブルーアップルの兵士は銃を地面に投げ、ゆっくりと手を上げた。


「貴様らの目的はなんだ!!」


アオが吠える。


「くっ・・・俺らの・・・目的は・・・」


黒ずくめの兵士が怯えながら口を開く。


「敵戦闘員の生き残り発見!仲間の1人が襲われている模様、直ちに交戦を開始する」


ブルーアップルの兵士たちがこちらに向かってくる。


(ちっ、まずいな)


「こっちだ!!早く!!」


黒髪の青年が叫んでいる。


(!!)


「OK!!わかった!!」


アオはその青年を追いかけて走りだす。


「待てー!!逃すなー!!」


ブルーアップルの兵士が発砲しながら、追ってくる。


(うおーーーー、やべーーーーー)


「この車に乗れ!!」


アオはその車に飛び乗る。


「発進!!」


ものすごい速さで加速していく。


さっきまでいたところがもうあんなに遠いところにある。


「ふう〜、ありがとう、助かりました、君の名前は?」


アオは夢人に尋ねる。


「僕の名前は安火 夢人、そちらは?」


「俺はアオ、ありがとうございます、おかげで助かりました」


「僕は、19歳なんですが、あなたは?」


「俺も、19歳ですね」


「じゃあ、普通にタメでOK?」


「OK!」


これが、のちに地球の運命を変える2人の出会いだった。

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砂漠地帯の廃墟街


「これからどうしようかな、元いたキャンプに帰ったら何を言われるか・・・」


「とりあえず、あそこの建物の陰で休憩だ」


2人を乗せた車は、建物の陰の所で停止した。


「お前、この地球に残された奴らだよな?」


アオが尋ねる。


「ああ、そうだが」


「なあ・・・お前は知りたいか?なぜ俺ら、グリーンアース社戦闘員がお前らを捕まえているか」


「ああ・・・・知りたい・・・・」


「そうか、だったら教えよう」


アオは真剣な表情で語り始めた。


「俺らグリーンアース社戦闘員には、地球に残されている人々は、悪いウイルスを持っていると教えられた。

そのウイルスは、しばらくすると感染した人は自我を失い他の人を襲い始めると」


「ゾンビみたいなものか・・・」


「そうだ、そして感染がすぐ広がってしまうと

いつかこの地球が元に戻るときに邪魔な存在になると・・・

だから、地球を元に戻す過程で、[地球に残されていた人々を全員とらえなければならない]という命令が上層部から出た」


「そうだったのか・・・」


夢人はつぶやく。


「しかし、今までもそうだったが、君や他の奴らにもそんなそぶりはない、だから俺は、なぜそんな命令が出たのか、 疑問しかないんだ」


「今さら元いた基地に戻っても仕方ない、これから、グリーンアース社の上層部が何を企んでいるのか調べようと思う・・・・・・」


「あと、消えた仲間がどうなったのか、ブルー

アップルについても調べたいと思う」


「その話・・・、僕も手伝っていいか?

グリーンアース社が何を企んでいるのか知りたいし、ブルーアップルについても調べたい!!」


「もちろんだ、これからよろしくな、夢人!」


「こちらこそ、よろしく、アオ!」


2人は握手を交わした。


「おし!!、出発だ!いくぞー」


「おーー!!」


「ところで夢人、食料はこの車に積んであるのか?」


「あ・・・・・」


「え・・・」


2人の旅は、これからどうなるのか・・・・・・・。






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