中堅冒険者の街・ブーストその①

「新しい街か…」



俺はクリスから話を聞いたあと、屋敷に帰り、再び話を整理していた。

喫茶店でクリスに聞かされた話はこうだった。

その世界を破滅させる神器とやらは、中堅冒険者の街・ブーストと呼ばれるところに住んでいる貴族デスト家の屋敷にあるらしい。

この貴族もかなり横暴で、ダクネスの力は借りてもアイギスの時の貴族のように無駄らしい。しかし、屋敷に侵入すること事態は難しくないらしい。街までは知り合いの魔法使いにテレポートを頼むと聞いた。一週間しか時間がないと言うこともあり、今日の夜中にあちらに向かうらしい。


「しかしどうするか…」

俺は悩んでいた。夜中に出掛けている事がばれてしまったら、今は出掛けている仲間にどう説明するかを。さらにクリス曰く失敗したならまた次の日に行くことになるらしい。一日だけならまだなんとか言い訳できるが、3日や4日となると、あいつらは絶対詮索を始めるはずだ…

この盗賊団の存在はあまりバレてほしくない。


「その事はその時考えるとしよう」


とりあえず今は神器のことだけを考えよう。


そういえば…

クリスは神器が丸くて重いと言っていたな。衝撃吸収材ことぷちぷちでも用意しておくか…

となると…



「あの店にも一応寄っていくか」


ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー


俺はとある店に来ていた。

盗むときに役に立ちそうな魔道具を買いにだ。

そうウィズ魔道具店だ


「らっしゃい!らっしゃい!最近、パーティーメンバーからモテモテで浮かれている小僧よ。今日はこの爆発魔法ポーションはいかがかな?」

「う、浮かれてねーし!てかなんだそのポーション。どんな効果があるんだ?」

「うむ。このポーションの能力は誰でも飲むだけで一定時間、爆発魔法が何回も使えるようになる」

「なるほど。性能は凄いな。で、欠点は?」

「魔力が0になることだ」

「爆発魔法撃てねえじゃねぇか!」

「要約はすると魔力を一定時間0にするポーションだ。お1ついかがかな?」

「い、いらない。というよりウィズは?」

「ポンコツ店主なら後ろで我が光線により倒れているはずだ。それより今日はなんの用だ?」


あ、焦げてる…

できれば美人店主が良かったが、こいつでもいいか。

俺はバニルにここに来た理由を話した。


「今日は買いに来たんだ。相手の目を眩ます、道具あるか?」

「目を眩ます?ないことはないが…何のためだ?」

「え、えっと、あの、その…ああ!モンスター討伐に使うんだよ!」


落ち着けサトウカズマ!冷静になれ!見通されたら終わりだ!


「?…何か怪しいな。まあどうでもいいが…とりあえず3種類あるがどれを買うつもりだ?」

「その3種類の性能は?」

「1つ目はボール状で、投げると光って爆発する道具だ。ちなみに、爆発の威力は中級魔法程だ。2つ目は缶のようになっており、蓋を開けると煙が出る道具だ。ちなみにかなり蓋が固いのでそこらの冒険者では開けるのは無理だ。そして最後。3つ目は設置型の罠であり、それを踏むとフラッシュのギミック付きだ。何度でも使用可能である。ちなみに体重100キロないと発動しない。といった感じだ。さあどれを選ぶ?いくつ買うのだ?」


最初のしかまともなのしかねぇー

しかし、使い方によっては3つとも使えないこともないな。一応買っておこう。


「最初のやつを5つと他のやつ1つずつくれ」

「まいどあり!」


おれは財布から金をだしバニルに渡した。


「ところで、小僧よ。買ってくれたお礼に、少し占ってやろう」

「え!?」


ここで見透かされたら…!!ヤバイ!俺たち銀髪盗賊団には賞金が掛けられている!それを金に困っているバニルが知ったとなれば…


「何をそんなに驚いておる…どれどれさっそく………むむ…上手く見通せぬ。何故だ…まさかあの青髪女神の力がここまで及んでおるのか?…しかし少しは見通せるな…」


あれ?アクアがいないときは見通せるはず…もしかして、クリスはエリス様だからそれもあるのか…?とりあえずバレなくて良かった。


「よく聞け小僧よ。中々見えなくて上手くは言えぬが、汝は何らかを企んでおるな?何かを決断するときはよく考えて判断するが吉と出た。その決断を間違えれば命をもおとしかねんであろう」

「え!?命を落とす!?」

「うむ。まあ何を企んでおるかは知らんが、無事で帰ってくるがよい」


あれ?バニルが人の心配を…!!


「この店の“収入源”に死なれてはホントに困るのでな。フハハハハハハハ!心配してくれてるとでも思ったか?おっと汝の悪感情、大変美味である」


こ、こいつ…!まあわかってたが…


「では、いってくるがよい」

「おう。また来るよ」


しかし命を落とす?物を盗むだけで?まあバニルの言うことだ。恐らく嘘じゃないだろう。


ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー


「よし、準備完了!」

もう夜は真っ暗だ。

まもなく約束の時間なので、屋敷を出た

ウィズの店を出て帰るとアクアたちが帰ってきていた。その時、アクアたちにダストたちと飲みに行ってくると言っておいたから怪しまれないだろう。集合場所はエリス教の教会だ。屋敷からすぐ行ける裏道も知っているのであっというまだろう

そして、裏道に入ると、人の声が聞こえてきた。こんな時間に歩くなら冒険者だろう

今は全身黒ずくめでバニルの仮面をつけている。そう、今の俺は銀髪盗賊団の一員だ。銀髪盗賊団は指名手配されている。見つかったら大騒ぎだ。

俺は潜伏スキルを使いながら進んだ。


エリス教会に付くと、クリスがこちらに手を降りながら


「あ、助手君!こっちこっち!」


と呼んだ。そしてクリスの隣に誰かがいる。この仮面を被ってるとバレるので外して向かう。その人は

赤い髪をして、青の目をしている。そして魔法使いのローブを着ている。おそらく昼間言ってた、魔法使いさんなんだろう。スタイルもよく、さらに美人だ!


「えっとお頭。この人は、昼間言ってた魔法使いの人?」

「そうだよ。今からテレポートで送ってもらうよ」

「エミリアと申します。アークウィザードです。クリスさんとはたまにダンジョンに行ったりする仲です。よろしくお願いいたします」

「よ、よよよろしくお願いします」


ちょっと緊張して上擦った声になっちまった…


「ではさっそくテレポートを開始します。この円の中に入ってください」


おれとクリスは指示通り円にはいると


「いきますよ。“テレポート”」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る