第一章 1

デジタル時計が、夕方の5時を表示した。



そのことを確認すると、隆也は、狭いラブホテルに置かれた、大きなベッドからゆっくりと身を起こす。



幸福だった時間が、砂を掴んだようにサラサラと指の隙間からこぼれ落ちていく。



「もう、こんな時間か…」


隆也はため息と共に吐き出した。



あたしと隆也は、お昼にここへ来て、それから、たっぷり五時間は入り浸っている。



続けざまに二度セックスをして、一緒にお風呂に入り、そのあと、またセックスした。



それから、筋肉痛な彼の太い腕の中で眠った。




「そろそろ、行くか?」



隆也が、爽やかな笑顔をこちらに向けた。



「そうね」


あたしも同じくらい爽やかに微笑み返す。



【恋人】だった時間が終わりを告げた。

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