第22話 新しい環境

そのお店のとてもありがたかったところがいくつかある。


まずひとつめは、スタッフへの教育プログラムがしっかりしていたことだった。

VTRでの教育、教育マニュアル、定期的な講習があったこと。

バイトでそこまでさせるか?という気持ちがあったものの、自分の成長には大きく影響を与えた。


ふたつめは、わりと自由にやらせてもらえたことだった。

スタッフひとりひとりの自主性と趣味を尊重してもらえた。

具体的なところで言えば、働いている時の服装かな。

そのお店のイメージというものがあるので、あまりそのお店に相応しくないコーディネートはNGとされることもある。

けど、わたしはけっこう自由な服装で働かせてもらっていた。

もちろん、洋服屋なのでそのお店に売っているものしか使えないんだけど、コーディネートの組み方とか、靴だったりアクセサリーだったりはけっこう好きにやっていたと思う。


みっつめは、チームで働くということをとても意識するお店だったことだった。

通常、洋服屋の店員というのは個人プレーのところが多い。

小規模のお店だと特にそうだ。

前に働いていたお店もそうだった。

だが、わたしが働き始めたそのお店はそうじゃなかった。


最初にお客様に声を掛けるスタッフ、試着室で案内するスタッフ、レジを打つスタッフ、バックヤードで作業するスタッフ...と、チームワークがないとうまく回せないお店だった。

小規模のお店がチームワークが必要ない、みたいに見えるかもしれないが...そうではなく、お店が大きい分、それ以上にチームワークが要求されるということだ。


そんな環境下だったので、わたしをいろいろな面で人間的に大きく成長させてくれた。

まず、変わったのはわたしのコミュニケーション能力だった。

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