姉妹

目をさますとそこは与えられた自室だった


そうか俺は、封印を解いて記憶を見てそしてあの女と会った

気になることがたくさんある,

少し整理しよう


・幼女魔王に似た女の子

・大人たちの口にした実験体145号と勇者という単語

・あの女のこと

・旧敵

・得意分野は弓だけではない


記憶についてはもっと見たい、知りたいがこれは仕方ないだろう

あの女は旧敵とやらのあの見せられた女と会えば思い出すと言っていた

つまり記憶と旧敵は今考えても仕方がないことかもしれない


ならまず考える事は、得意分野は弓だけではないということこれは俺が扱える武器はもっとたくさんあるということなのかもと思わせる


あとそうだ、あいつの言っていた目。


鷹の目が鷹の目じゃない



ものは試し


いつもと同じ様に鷹の目を発動させる

するとどうだろうか、いつも感じていた酔いは跡形もなく消えていた


ただなにも変化・・は無かった、視界がどうとかそんなのまったく無く本当に発動させているのか疑う、何度もオンオフを繰り返すが何度やってもなにも起こらない

これじゃあ某鯉の王様のはねると同じじゃないか


俺の相棒鷹の目さんがいなくなっちまった!


そんなことを思っているとドアがガチャっと開き


裸の・・アキナさんが入ってくる


「ブっ!.....なんて格好してるんですか!!」


「はい?なんて格好ってそんなに変ですか?このローブ、結構お気に入りなんですけど」


え、どういうことだ?


俺にはアキナさんが裸にしか見えない、だがアキナさんはお気に入りのローブを着ていると言っている

これはもしかして馬鹿には見えないローブなのではないだろうかそれなら馬鹿万歳なんだけど、それか俺の有り余る煩欲が見せる幻覚なのか。

それかドッキリなのか!?


ふとそこである言葉を思い出す


「視ようと思えば何でも視えるよ、魔力の線だろうが女の子の服の中でもね?」


もしかするともしかする。


特に変化が見られなかったためか鷹の目をオンにしっぱなしだったのだ

オフにするとアキナさんが一瞬でローブ姿になる


つまりめちゃくちゃ鷹の目先輩がハイスペックになっているということだ

いつも使うときに感じる酔う感覚アレのせいで使い続けることができなかった、それが無くなれば使い続けられる

しかもあの女が言ったことが本当ならもっと凄いものになっているという事で...



ただ問題があるなら視るものと視ないもので切り替えの仕方が分からない


鷹の目を使うたんびに色んなやつの裸を見なくちゃいけない事になる


多分例え男であってもだ。


そんなの嫌だ、俺だって年頃だし女の人の裸なら腐るほど見たいと思ってしまうが

盗撮のような事をしながらみるのも嫌だし


それに知ってるか?


この世の中男の方が女より多いんだぜ___


ふとした事故で見えてしまうかもしれないビッグマグナムの脅威と戦いながら使える勇気は俺には無い。

それにだ、男ならてめえの力で女脱がせってもんだろう



「...い、おーい。九条さん?」


呼びかけられている事に気づく


「すみません、ぼーっとしてました。えっとそれでどうしました?」


「どうしましたって言われましても、そうですね。どうでした?記憶の方は?」


む、質問を質問で返すとはやるなお主


「まあまあでしたね、返って謎が深まりましたが思い出せてよかったです。ありがとうございました。」


「...っ!それはよかったです。二個目の封印はどうしますか?」


顔を赤くして早口に尋ねてくる


褒められるのに慣れていないのだろう、アキナさんネガティブ思考っぽいし


どっかの青髪ダブル団子娘とは大違いだと思う


封印かぁ、正直このへんてこな気持ちのまま、また記憶を思い出すっていうのは大事なことを見落としてしまうのではないかと思う。


まぁ正直いうとあの女に直ぐ会いたくない

理由というかなんというかぶっちゃけ恥ずかしいのだ、ああいう行動をしてしまったから

っていうのもあるけど、本当は知らない自分を知ってる奴と会うのが怖い。

元の自分が分からないから、今の自分が前の自分とはまったく違くて記憶を思い出したら今の「俺」っていう人格は消えてしまうのではないかって。



「先ほどからぼーっとすることが多いですけど何かありました?」



多分突然黙った俺を見て変に思ったんだろう。


「いえ、思い出した記憶で頭がこんがらがちゃって。なので二個目の封印はまだ解いて貰わなくて大丈夫です」


「...そうですか。....あ!実はヨンちゃん....じゃなかった魔王様がお呼びです。」


ヨンちゃん... とはあの魔王のことだろうか


魔王というのに随分可愛いニックネームなのですね....


「どうしたんですか?」


「なんか今日から開始するらしいですよ?シーナの特訓」


「へ?」


は?えーと。聞き間違え?


「もう夜ですよ?見てください、この真っ暗.....な...空...」


俺は自室に取り付けられている窓を指さしながら見るとそこには真っ暗な空なんて存在せずむしろ明るく太陽がギラギラしていてそれでいて空が澄み渡っていた


「ん..?ああ、九条さん。もう日付が変わっています、もうお昼近くですよ」


結構寝ていたんです。と付け加えた


「ぜんっぜん!寝た気しないんですけど...」


精神的に疲れていて凄いつらい


「そうですよね、じゃあ魔王さまに言ってお休みにしてもらいましょう。大丈夫ですよ....多分」



多分って何ですかね....


「じゃあ待たせるのもあれですし、そろそろ行きますか。」


そのまま部屋を出て行ってしまう、アキナさん。


あれ?一瞬で着くんじゃない?


「早く、行きますよ」


ちらっと部屋に顔を入れて俺を呼ぶ


「前回は気づいたら魔王さまの所だったのでそうやっていけるのかなって」


「一瞬で?シーナと一緒だったんですね。シーナは抜けてる所は沢山ありますけど凄い強いんです。幹部で一番強いですし、それはつまり今の魔族の中で一番強い訳になるんです。空間魔法の使い手で、一瞬で魔王様の所まで行けたりとか...だからすごいんです。」


興奮しきった顔でそう言った。


魔王は弱いから、幹部で一番強い奴が魔族最強か。

まじなんで幼女魔王がシーナさんを制御できてるのか全然わからない


「す、凄いんですね」


「そうです!凄いんですよ!私の妹は!」


会ってからの一番の笑顔だった。


え...てか妹!?


いやいや!似てなさすぎじゃね!?

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今度は異世界で! 小月 祐月 @Ogatsu

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