迷宮

今、俺達はダンジョンに来ている。


Cランクから使えるようになる所で攻略するとギルドから褒美が出るらしい


ギルドにいる、冒険者にダンジョンってどんな所?って聞くと


まさに一攫千金!ロマンの塊だ!って言われた


最初は俺と先生は行く気がなかった、と言うより行けなかったが正しい。


だって、弓と魔法使いってどっちも後衛じゃん?

盾的な存在いらっしゃらないじゃん?

詰め寄られたら終わりじゃん?って感じだったのだ。


それをレーンさんに話したら、近場にランクが低く簡単なダンジョンがあるからそこにお試しで行ってみればと言われたのだが、俺も先生も行く気になれなかった


そしたらカノンさんが来て先生を部屋に連れていったあと2分ぐらいで出てきたのだが


先生がなんと


「海兎くん!ダンジョンに行きましょう。カノンさんに聞いた話によれば資金集めにもなるそうなので!」


と乗り気になってしまった。


先生とは前衛をゲットしてから行きましょうねと話してたのに...何があったのだろうか。

金に釣られるほど先生はバカではない。

ダンジョンという所は一攫千金のチャンスがあるぶん、それ相応の危険が付きまとう。


まだ早いですよって話してたばかり、多分何か、カノンさんに吹き込まれたと判断していいだろう。


初めて『踊るナス亭』に来た時は、美人でいい感じの人だな〜なんて思ったのに。

先生に人生の先輩としてアドバイスをとか言ってよく分からないことを吹き込んでるっぽい。


いきなり酒を先生が飲みましょうとか

部屋別々なのに先生が隣で寝てたとか全部元をたどればカノンさんに行き当たった。


今回も何か吹き込まれたと見ておかしくない。


「先生、急にどうしたんですか。俺達はまず前衛を得てから入りましょうって話したばかりじゃないですか!よく考えましょう。俺も先生も完璧後衛じゃないですか!危ないです、辞めましょう。」


「ですが、絶対に入りましょう。2人で!!」


この後、20分ぐらい続く口論をしたが俺が折れた。

だって泣きそうになってるんだもん。



という訳で俺達はダンジョンにいる。


ちなみに『踊るナス亭』は色々試してみてはいるものの、まだ客足つかずという状況


レーンさんは「じっくりやるさ」と言っていた




一応、今の所は特に危ない事はなかった。


現在ここは6階。

この初級者向けダンジョンとはいえ20階まであるらしく、まだまだ道のりは長いと言えるだろう


ダンジョンには所々にセーフティーポイントと呼ばれるところがある。

魔物が入ってこれない場所でどのダンジョンにもあるらしいが誰が作ったとかではなく、ダンジョンにもともとあるものでそもそもダンジョンは自然発生するもので神様が置いてくれてるとか噂がある。



「あ、先生ここ右です。」


「わかりました。」


因みに入り口で全ての階マップが銀貨2枚で売っていた。

2万円ぐらい、ちょっと高い出費をしたがダンジョンでもっと稼げると賭けてみた。


あ、ゴブリンだ。


ここはゴブリンが単独でしかでない。

最下層に近づけば群れるのかもしれないが、単独だと全然強くなくゴブリンは集団だとBランク相当とされているけど単独だとDランク相当になる。


先生は白魔法つまり回復担当、俺は弓で敵をしめていく係だ。

黒魔法は双葉さん担当。


最初は先生単体でも黒、白魔法どちらも使えるのだと思ったけど実際は2人で役割分担されているらしい。


双葉さんが黒魔法はMP消費が激しく使いたくねぇとのことで今回は寝てる。


俺達にはHPやMPは数値化されたものが無く実際にあるのかは分からないけど先生は魔法を使ったあと俺は『鷹の目lv2』を使った時少し何かが抜ける感覚があったからそれがMPなんだと思っている


黒魔法は結構持っていかれるらしい。羨ましい悩み?かな俺、まだ魔法使えないし。

いつかは俺も使えるようになりたい


さてとゴブリンを倒しますかね


弓を引くのは慣れてきたが、『鷹の目lv2』を発動させた時に目が物凄くよくなる感覚が慣れない。


勿論弓はギルドで支給されたやつ。


『鷹の目lv2』のお陰で魔核は見えているだけどダンジョンに来て学んだのは魔核にダメージを与えてもRPG風に言うなら弱点に当たって大ダメージを受けているという事になる


スライムなどEランク相当の魔物なら魔核に1発当てれば簡単に消滅するがゴブリンとかは少しHPが残るのでもう1発与えなければならない。


取り敢えず1発目を当てるため矢を取り弓を構える


「グギャッ」


ゴブリンはそう鳴くと攻撃をするためにこっちに突進してくる。


因みに先生は僕から結構離れて後ろの方にいる。

どうしても慣れないらしい。


これが・・・


俺は矢を引いて放った。

すると矢は一直線にゴブリンの右目に吸い込まれるように刺さった。


「グギギッ!グギャ!」


何を言っているかは俺には分からない。

俺も最初は慣れなかった。



ゴブリンの右目に俺が放った矢が刺さって血が出ている。

緑色の血だ。

それを痛がっているゴブリンの光景。これが凄く俺達の心を抉った。


ゴブリンは人型だからもあるかもしれない


その光景は凄く俺達には慣れないものであり、いつかは慣れなくてはいけないものでもあり同時に慣れてしまってはいけないのかもしれない光景。


ゴブリンは人間に肌の色が緑って事だけで後はほとんど人間の子供みたいなものだった。


それに痛がっている光景をみて楽しめるほど性格がおかしい訳でもない


でもここはやらなきゃやられてしまう『弱肉強食』の世界。


次は『鷹の目lv2』で魔核の場所をみる。

左脇腹ら辺にモヤモヤとかかっているなにかが見える。


そこに狙いを定め、弓を引こうとしたその時


「グギ、グギャー!」


と最後の力を振り出したのか、また突進をしてきた。

俺は慌てながらも場所だけはしっかり見て弓を射た。


俺から放たれた矢は一直線に魔核の部分へ飛んでいき突き刺さった


「グギャ...グギャァ!」


ゴブリンは何かを吼え、消滅した。


相手も生きているんだと実感させられる戦いだ。


『鷹の目lv2』にはどうやら弓補正みたいな物がかかっており、俺の素人の弓がバンバン当たる。


「お疲れ様です、やっぱりあの光景は何度見ても堪えますね。」


戦闘が終了したので先生が後ろから歩いてきた。

先生は完全サポートタイプなので後ろにいてもらっている


「ですね、でもだから倒さないってわけにもいかないですし。」


「あ!怪我はありませんか?」


と先生が期待をしたような声で言う。


杖を持ちながら・・・・・・・


先生は杖を持っていなかったので買った。

少し高めのヤツ。


ちなみに言うとあのお姫様から貰った杖は城の部屋に置いてきたとのこと。


先生が

「魔法は杖がなくても使えますから要りません、それより海兎くんの弓を買いましょう」


と言うから、気になってマリさんに


「魔法って杖がなくても大丈夫なんですか?」


って聞くと


「構造が簡単な魔法は大丈夫でしゅが、上級の魔法になりましゅと制御しゅりために必要です。」


と噛み噛み+舌っ足らずな感じで教えてくれた。


だから、買ったわけである


先生の今の状況は杖を使ってみたいってのがあると思う

なにせ今まで無傷だ、俺、遠距離型だしね。


俺としては無傷ってのはいいことだと思う


「無傷ですね。」


俺がそう返すと明らかに残念そうな声で


「そうですか...」


としょんぼりしていた、別に俺悪いことしてないのに罪悪感が生まれた

が、傷を負う気はない。




6階層でのゴブリンとの戦闘から体感で3、4時間はたった。


俺達は19階にいる。


マップに階段まで御丁寧に書いたあるのでそれに従って動いていた。


10皆まではゴブリンが単体で出ていたが10階を超えた当たりからゴブリンが2、3体で出るようになった


1体だったら俺1人で対応できるが2、3体だと一体を倒すのに専念している間に近づかれてダメだと思ったので戦法を変えた。


先生を前に置いた。

自分の周りに壁をを作るみたいな魔法で先生に囮役をやってもらい、先生に注意が行っている間に俺が1匹ずつ倒していく。


先生と双葉さんは白魔法も黒魔法もカンストしているから色々なことが出来るが俺は何が出来るんだろうと俺が足を引っ張ってると思う。


申し訳なさでいっぱいだ。


話は戻るが俺達はボス部屋場所の前にいる。


そしてその前にはセーフティポイントがあり、休憩できるようになっている


「どうしますか?先生。」


「そうですね、私としては行きたくないのですが双葉は行きたいって言ってます。」


「俺も行きたくはないですがここまで来てボス部屋入らないのはちょっと...って感じです。」


「そうですよね、でも2人、双葉を合わせると3人ですがどっちかが前に出るとどっちかは後ろに下がらなきゃいけないので実質2人ですから、不安ですね。」



ボスはゴブリンキングと取り巻きのゴブリン5体。

6~7人のパーティーで行くのが普通らしい。


まずゴブリンキングが具体的にどれくらいの強さなのかを俺達は知らない。

ここが俺達の弱点になる。


逃げようと、思えば逃げられるようになってるらしい。


「取り敢えず入ってみませんか?やばくなったら逃げましょう。」


俺が提案すると、先生は少し悩み考えると


「そうですね、取り敢えず行ってみてどんなものなのかの確認をしましょう」



そういい、俺達は2人でボス部屋の扉を押した。


扉を開けるとにたぁと凶悪な笑みを浮かべている

3mはあるであろう、ボロボロで汚い王冠を被っているゴブリンがそこにはいた。

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