歌占《うたうら》は占星音楽の元祖?

鏡リュウジ公式サイト・コラム


オカ研File No.34 歌占を引いてきました 1

http://ryuji.tv/okaken/?id=66


オカ研File No.34 歌占を引いてきました 2

http://ryuji.tv/okaken/?id=67


 占星術研究家、鏡リュウジさん公式サイト。こちらでこのようなコラムがアップされていたとは……不覚にもずっと気づかなかった(汗笑)。そうか、歌占うたうら。要するにおみくじの一種ですが、これって元祖・占星音楽ほしうたうらないじゃ……。私自身がある日閃き、今日に至るまで語り続けている、占星術うらない詩作ポエムとを音楽の土俵でコラボレーションさせよう!というものの原型ともいえるものの秘密が、実は神社のおみくじに隠されていたとは。


 これぞ灯台もと暗し。そもそも神社や神道、ひいては、日本神話の世界は、私自身がライフワーク的に書き続けている拙作小説『幻影-まぼろし-のルミナス』執筆開始当初からの近年の興味の対象でもあったのです。そして和歌。占星家のマドモアゼル・愛氏も実践、提唱なさっている、大和言葉の響きの主である母音を響かせる披講も、その和歌を歌ったものであると聞きました。


 披講は、代々天皇家でも折に触れ歌い継がれてきたもので、ならば天照大神を祖神とする皇室で歌われてきた和歌が神社のおみくじに使われていても、何の不思議もないわけで、考えてみたら神道の祝詞のりとも披講と同様のもの。この歌占もとい、おみくじとは、「聖なるくじ」。つまり神々からの御言葉、託宣を告げるものということで、占い同様、単に吉凶を占うものばかりではなく、神様からの御神託にほかならないものだったのですね。それは洋の東西問わず同様で、


『ギリシャのシャーマンであると考えられるオルフェウスも歌人だったし、ブリテン(英国)の伝説的魔法使いマーリンもその予言を謎めいた詩のかたちで呟く。かのノストラダムスが予言を四行詩の形式で残すというのも、こうした伝統を意識していたということでしょう。(中略)日本の場合は、古今和歌集の仮名序に「人の世となりて、素戔嗚尊よりぞ、三十文字あまり一文字はよみける」とあるように、神話に出てくる神・スサノオが和歌を地上で最初に詠んだとされています。 他にも住吉明神、三輪明神、伊勢御神、貴船明神などの神の託宣歌が12世紀の文献などに残されていて、巫女が神がかりして和歌を詠む歌占は、中世には広く行われていたようです。』(以上、鏡リュウジ公式サイト・コラムより引用)


 と、鏡氏コラムにもあり、そもそも占いと和歌や詩とは、神々~天や宇宙からの意識を伝えるという意味でも、非常に親和性があり、理にかなった形式でもあったのだと。ギリシャのデルフォイの神託などは、変性意識に入った巫女が、その神のお告げを読み上げる。変性意識とは、つまり夢現ゆめうつつの状態のことで、最近ふと閃いたんですが、なぜ眠っているあいだに見る夢と、夢を志すといった、将来的な目標の意味合いでの「夢」は、同じ言葉なのか。……そこにもつまり、この「変性意識」というものが大きな意味を持っているのではないかと。


 歌占つまり、おみくじの和歌も、そして占星術も神(天)からの言葉を受け取り告げるという意味で同様で、占星術の場合は、星を読む際に非常に大きな比重を占め、必要とあるインスピレーションというものが、そこには大きく関わってきていると思うのですが。それが無意識という潜在意識を通じて文字取り降りてくるものなのか、それとも読む者が意識的に読もうとするものなのか。


 そこにも当然、右脳と左脳ということが関わってくるのではないかと思いますが、右脳、つまり音楽脳は潜在意識が司る無意識の領域なので、むしろ論理脳である左脳を駆使するよりは、こちらの右脳を最大限解放させる方が、星を読む上では欠かせないもの。ですから、何もうんうん唸って頭で考える類のものではないのですね、占いも詩作も。むしろ、天から降り来たる「神」の言葉を感じる。それこそ「考えるな、感じるんだ!」の世界(笑)。


 神とは、つまりその天の意識にほかならないと個人的に考えていて、その神や天や宇宙とつながることは、その変性意識の夢現状態になること以外にないのではないかと思います。そういえば、死後体験や宇宙人との交信状態も、この変性意識に入った状態のことをいうのだと、それらの諸々著書にて過去に読んだことが。そう考えると、占星術はものすごく心霊的であり、さしずめそれは、いかにもオカルトチックでありながら、実はそのオカルト自体が、これからの地球や社会が宇宙とつながる上で重要な鍵となることは、様々なWebサイトでも大真面目に語られていること。


『占い、とくに占星術は複雑な推論が伴われるので、「科学的」に見られやすいですけど、だからこそ「占いはサイエンスではなく、その本質はディビネーション(霊感)にあるのではないのか?」という問いかけが出てきている訳ですからね。

』(同コラム引用)


 占星術や神々からの神託こそが、そもそもオカルトそのもの……しかし、オカルトというと、ひとからげに怪しいものや眉唾物であると一笑されがちですが、はたしてそうでしょうか。幽霊の存在や宇宙や宇宙人についてだって、まだ何も科学的に解明されてはいない。そもそも「科学的なこと=すべて真実」なのだろうか。科学とオカルトの、そのボーダーライン自体が実に曖昧なもので、だから占星術などというものが、バビロニア時代の大昔から体系化され、東洋と西洋に二分し、そして今日に至るまで大真面目に研究されているのでは。


 歌占が今日のおみくじという形式を取るまでは、それは純粋な神からの神託だった。つまり当たり外れではなく、もっと大事な何かがそこにはあった。そして歌や音楽、踊りなども、元を正せばそういったシャーマン的な巫女のトランス状態を引き出すための、その変性意識へと至る一つの儀式にほかならなかった。今では芸能というものは、純粋にそれを生業とし、純粋な売り物としての商業的な指標に基づく芸能界や音楽業界などに二分されていますが、もともと音楽自体「ムジカ」と言って、それは歌や楽器演奏だけでなく、舞踏や演劇、そして詩などもその一つだったと言われています。


 こう考えていくと、占いと音楽とは、かなりの比重において非常に縁のあるものなのではないかと――。私自身の「占星音楽ほしうたうらない」の構想やその閃きは、そうなると結構それなりに的を得たものだったのかな、と我ながら驚き感心していたりも(笑)。そして、


『籤は英語ではLOT(ロト)、これは伝統的な占星術の用語そのもの。有名なところでは「パートオブフォーチュン」というのが知られています。太陽、月、アセンダントの位置から算出する幸運の座ですが、この「パート」は「ロット」とも呼ばれて、この幸運の座のほかにも結婚のロットとか死のロットとか、天体の組み合わせで極めてたくさんの種類が用いられるようになりました。ロットというのは、偶然性のなかになにかの運命の必然を感じる人間の心性に直結しているのかもしれない。(中略)占星術はこうみていくと、天体運行という壮大な回転運動を一種のルーレットとして運命の籤を引くという行為にも見えてきます。』(同コラムより引用)


 へえ……。と、個人的にも、とても面白いなと思うくじと占星術のホロスコープの不思議。ホロスコープは運命を導くルーレットであり、私たちの心を奏でる円形の五線譜でもあり。インスピレーション、想像力によって、いかようにも姿を変えるその世界に、また新たに深く興味を惹かれました。


 『やっぱり多くの人にとって、シンプルでわかりやすいものが生き残っていくということですかね。でも、ダーウィンがいう「適者生存」による淘汰がおみくじや占いコンテンツにも働いていった結果、そこで生き残っていくものが現在の基準では「ばかばかしい」ものに映ったり、「なんだかよく分からないもの」である可能性は決してゼロではないんじゃないかなぁとも思います。そういう意味でも、今では廃れて隠れてしまった伝統や一見あやしいものの中に、これからも現在の隘路を突破する着想を探し求めていきたいですね。』(同コラムより引用)


 ――シンプルでわかりやすいもの。確かにそれこそが、意識というより潜在意識そのものが司る無意識の領域であり、もともと音楽や歌の、そういった分かりやすいリズムやグルーヴこそが、何より雄弁に人々の体験として、その記憶に生き残っていった。ああ、これは披講や和歌の言葉のリズムや、何よりその変性意識に働きかける、母音を響かせる大和言葉の力そのもの。


 歌は世につれ世は歌につれ――というフレーズが如実に言い表しているように、極々シンプルなものだから、人々の心にいつまでも刻まれ、そして無意識の状態の魂や生きる力などにも深くその力が及ぶ。その歌のグルーヴが天の言葉を告げる占星術とリンクしたら、想像以上の世界が開けるのではないか……? そんな素晴らしくも、心浮き立つ想像もとい妄想がとまりません。

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