第24話 友達


近づいて右手を差し出した薫子は言った。


ごめんなさいね、何も言えなくて。。。。今日ここに連れて来て下さったのは多香子様だけれど、驚きました。。。知っていれば、お誘い断ったのですけれど。。。


転校して来たばかりの薫子が何も知らなくても無理はない。憂は、わたしは足が悪いし。。。学校も休みがちだから。。。成績も良くないし。。。


多香子を思い浮かべた。多香子が、わたくしが連絡しておきますから、といつも立候補するのに、まともに連絡してくれたことなどなかった。いつも。。。どこかテストの範囲は的外れ、おまけにテストがあることすら、大抵教えてはくれなかった。宿題も。。。あなたって、本当にどうしようもなく、落ちこぼれね?多香子の声が教室に響く。


家で。。。家庭教師が着いてくれているというのに。。。憂は、どうしても苦手な科目が、いくら勉強しても克服出来ないことに着いて、ほぼ絶望的な気分になっていた。それ以上に。。。テストの範囲も、宿題も、知らないのだから、不利で当たり前だ。。。


憂がクラスメートに電話しようにも、多香子様にお聞き下さい、と言われるばかりで。。。クラスの中で幅を利かせている多香子に逆らうのがみんな怖かった。多香子はああ見えて、何をするのか分からないようなところがあった。気に入らない、そう思うと、さっきみたいな嫌み程度では済まない。


転向しないと無理、と感じるくらいまでいじめ抜いて追いつめるなんて、多香子に取っては、遊びの範囲だった。にこにこ嫌みを言うくらいならまだ害がないと思った方がいい。多香子に一度目をつけられたら、もうおしまいだと皆が良く知っていた。悪智慧が働き、どんな嫌がらせでもにこにこ笑ってする。そして、良心の呵責なんかも微塵もない。


本当に気にしていないんですよ。。。

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