第18話 薫子
ねえ?薫子様。。。と、さっきから目立たなく隣にひっそり立っていた新宮薫子に同意を求めた。
薫子は柔らかく切りそろえられた肩までの黒髪を静かに揺らして、転校生の新宮薫子と申します、よろしくお願い致します。。。と静かに、でも礼儀正しく、挨拶した。
多香子は、薫子様のことを知らない人なんて、学校にいないわ。。。と薫子に言った。あなたのお父様、この間、テレビでお見かけしたわ。。。
薫子は何も言わなかった。多香子に乗せられたくないのかもしれない。多香子は、素晴らしいことね、大学の教授をされていて。。。何だったかしら、確か。。。何とかっていう新しい発見をされたとか。。。
薫子は何か小さな声で、答え、多香子が、良くわからないけど、素晴らしいわね。。。と言った。
多香子の姉が、あなた、おしゃべりが過ぎるわよ、さあ、行きましょう。。。と言った。憂にはあまり興味がなさそうに、ちらちらと窓の外を見ている。
多香子は、あなたみたいな人でも、枯れ木も山の賑わいって言うものね。。。と、憂に囁いた。側でそれを聞いていた薫子は、少し、曇った顔をした。
スタスタと先に行く多香子、どこか落ち着かない多香子の姉。。。
あの。。。お先にどうぞ。。。わたくしは。。。ゆっくり行きます。。。
廊下で冷えて、憂は歩けない、と感じながら、訝る薫子に、本当に。。。お先にどうぞ、後から行きますから。。。とぎこちなく微笑んだ。
多香子は、薫子に、高咲様って少し変わっている人なのよ、何を考えてらっしゃるのか、本当に分からないの、偏屈って言うのかしらね。。。そういうのって。。。それとも、気難しいのかしら?優しそうな顔をして、弱そうに見えて、実際は厚かましいわよね、いつも足が悪いからって、優しくされて、優遇されるのだもの。。。
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