第8話 謝罪


本当にごめんね。。。。先にお兄さんに話を通しておくべきだったね。。。


僕は、憂ちゃんのことが本当に好きなんだ。。。ずっと前から。。。。


今日一人でも、出て来て来てくれたから、僕の気持ち分かってくれてるかな、って思って。。。。


本当に。。。そんなつもりじゃなかったんだ。


でも、つい。。。。憂ちゃんがあんまりかわいいから。。。。



正式にご挨拶に行くよ?


憂はどうしたらいいのか分からずに、ただ黙っていた。なぜ兄はあいつだけはダメだ、と言ったんだろう。。。。


ごめん。。。。


気まずい時間が流れた。


それから、一矢は、長い沈黙の後に、僕が。。。こんなにも謝ってるのに、キミは。。。許してくれないの?と、小さな声で怒ったように言った。


こんなにも好きなのに。。。


憂は体を捩って少し赤い毛氈の腰掛けの上を後ずさりしようとした。


ねえ?


一矢は憂の両手を握ったまま、腰掛けている憂の真正面ににじり寄るのように腰を落として、それから、憂を見上げた。


憂には逃げようにも逃げ場がない。


憂は、何故兄が、あいつは止めとけ、と言ったのか、何となく分かった気がした。


憂は下を向いたまま、あの。。。もうすぐお席入りのお時間ですね。。。と言った。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る