帰宅部!

ちきん

帰宅

 ここで1つ質問。

 君たちは帰宅部というものを知っているだろうか。

 もしかして、部活動に入ってない生徒のことを帰宅部だとか思ってないだろうか。

 もし思っていたとしたらそれは大きな間違いである。


「なぜなら!帰宅部は立派な部活動だからな!!」


 放課後、学校からでたところからその部活動は始まる。そして、家に帰りつけば部活は終了だ。ここまでは至ってシンプル…だが!

 そう簡単に家へと帰れるわけない…。


 なぜなら!学校から家に帰るまでは毎回死闘のデスマッチが繰り広げられるからだ!!


「どけぇぇぇ!!」


 ふと、歩道を歩いていたオレの後ろにロケットエンジンを装着した1人の男子生徒が突撃してきた。

 そう、この通りこの部活にはルールというものが一切ない。いろいろと妨害しながら最後には家へとたどり着けばいいだけなのだ。


 しかし、俺にこんなロケットエンジンなど効くわけがない…。


「フンっ!!」


 俺は鼻息でロケット男子を止めると、止まっている間に口から波動砲を発射した。


「なんで!!お前にそんな力が!!うわぁぁぁぁあ!!」


「フッ……そんなの俺もしらん。」


 でるかなー?って思ったら出たんだ。まあ、全部気持ちでなんとかなるんだよ!!


「くっくそ!!この威力…家と逆方向に飛ばされちまう…!!」


 ロケット男子はそのまま学校の方まで吹っ飛び、1人のメガネをかけた少年のところまで接近した。


「…別に、帰宅部に入ろうと家に近ければ特に戦う必要なもないのだよ。フッフッフガバベっ!?」


 直後、ロケット男子の膝がメガネ少年の顔面に食い込み、メガネ少年は失神しながらも家の中へとゴールしていった。

 ….正直、家が近いのはずるいなと俺は思う。

 まあ、それだとせっかくのこの楽しみがなくなってしまうけどな!!


「まだまだぁ!!お前は学校の中まで吹っ飛んでもらうぜぇ!!」


「こいつ!逆走してまでこっちにきやがった!!」


 そう簡単に逃すとでも思ったら大間違いなんだよ…。

 俺はどんどんロケット男子のもとまで走っていき、最高スピードに到達したところで大きく右腕を振りかぶった。

 …が、その瞬間俺の下にあった地面が一気に崩れ始める。


「……なっなにぃ!!」


「お前ハモウオレニ捕マッタ。ココカラハオレノ番ダ」


 下から出てきた手に俺は脚を掴まれる。

 なかなか握力があるのか、俺の脚からミシミシと骨が軋む音が聞こえた。

 あまりの痛みに俺は歯をくいしばる。


「こんなんで止めれると思うなっ!!」


 俺が右手に力を込める。すると、右腕全体が金色に輝きだし、その手で殴った瞬間大きな爆発がその場で起こった。


 爆風で周りの家は吹き飛び、失神していたメガネ少年が飛ばされていくのが辛うじて見えた。


「キサマ…コノチカラ….マサカ…わふっ」


 最後の一言と共に、腕しか見えてなかった変なのが吹き飛ぶと、俺の脚はやっと解放される。


「ちっ…ロケットは見逃したか…」


 …仕方ない。今日はもう帰るしかないか。

 俺はその場から去り、自分の家のある方へと向かった。


「おい!!まてよ!!」


「……?お前、自分から言うとかそんなに殺されたいのか?」


「はっ…どうだろうな。俺も自分でなんでお前を止めたのかほわかんねーよ。頭おかしくなったんじゃないかって今でも思ってる…。

でもここでお前が去っていくのを黙って見てられなかったんだよ!!」


 ロケット男子は最後の力を振り絞って、いや、ロケットエンジンの力を使って高速で俺の方へと向かってきた。

 俺も右手を構え、それを向かいうつように体の向きを変える。


「…!!」


「うぉぉぉぉぉああ!!」


 まさか…この俺が…!!このロケットなんかに…!?


 ロケット男子の拳は、俺の右腕を貫通し、俺の腹さえも貫通していた。

 このままじゃ…、負ける!?


 この…俺が?


 いや…、


「負けるわけねえ!!」


 俺はまだ動く左腕でロケット男子の顔面を殴った。

 すると、ロケット男子はバランスを崩し、俺とロケット男子はクルクルと回転しながら地面に激しくぶつかる。


「まだまだぁ!!」


「うぉらぁぁ!!」


 俺とロケット男子の拳が互いの頬に思いきりぶつかった。


 ズドオォォォォン!!





 そして、突如落ちてきた巨大な岩の下敷きとなり、俺とロケット男子は互いに戦闘不能になったのだった。


「ふははは…これで危険戦力はいなくなった!安心して家に帰れ…ブゥホっ!!なんで…お前がここ…に…」


 そして、急に現れた両腕が異常に発達した生徒が倒れる。




「…っていう夢をみたんだ」


「どういう夢だよ!!しかも最後の気になる終わりかたなんなんだよ!!」


「まあまあ、落ち着けって今日はもう学校終わりなんだし帰りながら続き考えてやるからさ」


「お前が考えたら…まあ、いいや。わかったよ」


 そして、俺と喋っていた友達は学校の門をでた。


「…じゃあ、その続き教えてやるよ…。体でなぁ!!」


「どうせそうだと思ったぜ!!できるもんならやってみろよ!!」


 こうして、また帰宅部の部活動が始まるのだった…。

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