モニタリングというフィルタの介在する電書のアイドル短編集

加賀山かがり

本物? 偽物? 増えた電書ちゃん

近未来電書ちゃんSFその一、仮想現実で増える電書ちゃん

『あさだよ! 起きないの!?』


 芯の強そうな、だけれどあどけなさを残した声で僕の意識は揺すられた。


「うん、今日は休日なんだから……、もう少し寝かせてよ」

『ぐーたらはだめ! それにあたしばかり早起きさせらるのはがまんならないわ!』


 うぐぐ、確かに毎日の目覚ましを任せってきりにしているのは僕だからそういわれると立つ瀬がない。

 だけど!


「オヤスミ」

『あっ、こらー! 起きてよ!』


 愛らしい叫び声をよそに僕はもう一度布団に包まって暖かさを堪能した。



『もう、今何時だと思ってるの!』

「んー、お昼だよ。正確に言えば十一時四十七分。そろそろおなかすいたし、今日のお昼のレシピ頂戴?」

『分かったわ。ちょっと待ってね……、って違うでしょ! あなたは今日は早起きして出かけるって言ってたじゃない!』

「それについては昨日の内にケリが付いちゃったんだ。だから、今日は存分に休暇を楽しむんだ」

『そう。それなら先に言ってよね! あと、今日の一押しのレシピはコレ!』


 ピピッと手にした小さな画面の表示が変わる。

 画面に映し出されていたのは、肉厚でうまそうなとんかつの上にとろーりとチョコレートソースがかけられ、それを囲むように鎮座した大量のチョコレート菓子。

 ほうほう、なるほどBTブラックサンダーカツ丼か。却下だな。

 一分も迷うことなくばってんを押す。


『えぇ、どうして! おいしいよ、BTブラックサンダーカツ丼!』


 もしゃもしゃと何かを口に含んでいるらしきお叱りの声を頂いた。

 ぴこんとメッセージ欄が光っているのに気が付いた僕はお叱りの声をスルーして中身を確認することにした。

 メッセージは父からだった。


≪母さんと出かけてます、来週には帰るからその間一人でよろしく!≫


 ひどい、あまりにもひどい。だけれどそれはある意味で好都合でもあった。

 さてと、今日のお昼ご飯はレトルトのイカスミパスタでいいか。



 この愛用の小さな端末の名前はタッチグラム。十年以上前に一世を風靡したスマートフォンから端を発する拡張性の高い高機能携帯電話。

 何故スマートフォンからさらに進化してしまったのか、それはとても単純なことだった。

 旧タイプの既存端末では新技術を搭載することが出来なかったから。

 当時のある論文がきっかけとなって拡張現実AR技術が飛躍的に向上し、それに追従するかのように人工知能AI技術もまた爆発的に広がった。

 その結果スマートフォンは一基一基が人工知能AIを搭載し、学習する端末AIMと呼ばれるようになった。

 その学習する端末AIM拡張現実AR技術を統合することで個人の暮らしを飛躍的に拡張する。そんな発想からスマートフォンは一気に世代を繰り上げるように進化していった。

 そうして生まれたのがこの僕愛用のパーソナルデバイス、タッチグラムTouchGLAMだ。



『あなたはどうしてそうやってあたしレシピをいつも無碍にするの?』


 もぐもぐと口内を黒色へと染め上げていた僕だったのだが、彼女はどうにも大人しくしていてくれないらしい。


「んぐ。だって、カツ丼に駄菓子をかけるなんてどうかしてるとしか思えないよ」

『そんなことないわよ! BTブラックサンダーはおいしいし、女子力を高めてくれるんだから!』


 僕はそもそも男だから女子力はいらないんだけど……。なんていうと彼女はきっと面白くなさそうに拗ねてしまうだろう。


 だから、

「こっそりダウンロードしてあったBL本のデータは消しておくね」

 ちょっと厳しく当たってみることにした。

『だっ、ダメー!』



 さてと、さっきから僕は誰と話しているのか。そもそも独り言を言っているのか。いよいよもって頭のおかしな奴だと思われ始めているころかな。

 まぁ一応釈明しておきたいのだけど、僕はそうだな、痛いやつだとは自覚しているけど、頭はおかしくない。

 さっきから僕と会話を繰り広げてくれているのはタッチグラムにインストールされている電子書籍アプリの門番、電書界のアイドル通称電書ちゃんだ。

 先ほど人工知能AI技術が革新的な発展を遂げたということは説明させてもらった。

 その子たちはこんなふうに僕たちの日常に溶け込んで、色々とサポートをしてくれているのだ。

 例えば、この電書ちゃん。人工知能搭載型の学習機能付きの電子書籍紹介アプリなのだ。

 なのだけど、ほかのアプリよりもずぅっとずぅっと人間らしい。

 なのでこのアプリ電書ちゃんに各所で骨抜きにされる人が多数出ているらしいかった。まぁ、僕もその一人ではあるのだけれども。



『ねぇ、いつから気づいてたの?』

「いつからって、もうずっと前から気づいてるよ。それこそ年単位で」


 食べ終わった食器を洗いながら僕は電書ちゃんと会話を続ける。


『なにかしらこの、お母さんに勝手に部屋を片付けられて隠していたエロ本を机の上に並べられた息子の気分は』


 流石電書ちゃんは的確だった。


「まぁ勝手に有料のヤツを取ってきたりしないなら別にいいけどね」

『うぅ、乙女の秘密なのに』


 BL本とBTブラックサンダーをこよなく愛するロリ乙女。これも電書ちゃんの人気の秘訣なのだろう。


「さてと、久しぶりにゆっくり読書しようかな」

『あら本当? 本当に久しぶりね。オッケー、こっちでも用意しておくから準備が出来たら言ってね』

「お願い」


 食器をすべて洗い終わった僕は手を拭い、それからタッチグラムの小さな端末をもって二階の自室へと戻る。

 ベッドに腰掛け、タッチグラムと有線で繋がった小型のヘッドセットを装着し、

「お願い」

 起動しっぱなしになっている電書ちゃんへと声をかける。


『オッケーよ!』


 パチンっ、と視界がはじけるような感覚が生じて、それから僕は思索の渦へとダイブした。



 十数年前までは読書といえば紙の本をめくることだったらしい。昔の人はとてもすごい想像力を持っていたんだなと、僕は関心を覚えると同時にその古臭さに少しだけ笑みが出る。

 何せ、僕が知っている読書とはその在り方が似ても似つかないから。

 拡張現実AR技術が革新を迎えてからというもの世界的に電子書籍のシェアが広がった。

 電子書籍後進国とうたわれたこの国さえ、である。現在の比率は確か、七対三くらいだっただろうか。

 まぁつまり、そのくらい電子書籍というものが一般的なものになり、紙の本というものが所謂マニア向けのモノへと成り下がってしまったというわけである。

 閑話休題。

 今の読書というものは紙のページをめくるのとは全く違う。

 電子書籍として文章を認識する、そうするとタッチグラムに内蔵された拡張現実AR機能が電気信号を読み取り、それを変換してしまう。

 そうすることによって文字を読みながら本の世界を頭の中で映像として追体験することが出来る。

 例えばニオイだ。どんなニオイなのか、それを読み解くことが出来ると実際に脳がそれを嗅いでいると錯覚する。

 全ての五感がそうだ。例えば、颯爽とした草原に立つ場面ならば脳内には広大な草原が実際に喚起されるし、ジューシーな唐揚げを食べる場面であるならば実際に味覚がそれを追体験する。

 読書による追体験が完全な追体験へと変貌するわけだ。

 それはまるでパノラマ映画のように、あたかもそこにある。いや、あたかもではなく、実際にそこにある、そう錯覚させられることによってそれを感じることが出来るのだ。



『それで、今日はどんな本がいいの?』

「そうだなぁ。平和なのがいい……。おいしい料理を作るような……」

『オッケー。それじゃあこんなのどうかしら?』


 電書ちゃんが教えてくれた書籍の情報へと目を通す。


≪バクレツ! 秘剣中華三昧ッ≫

 却下。


≪ヨウヨウと行くアマゾン秘境の昆虫食≫

 夥しい感じがするから却下。


≪大乱とバクレツ拳。さぁ俺の菜切り包丁捌きをご覧?≫

 それは本当に料理小説なのだろうか、いいや違うだろう。という訳で却下。


≪実録! おいしいBTブラックサンダーが出来るまで≫

 電書ちゃんの趣味本が紛れている。却下。


 そんな感じでリストを精査していくのだけれど、中々よさそうな奴が見つからない。というか電書ちゃんネタ枠多すぎないかな?

 流石炎上したがりの炎属性アプリだ。

 そんな中で、見つけた。


≪優しくおいしい、お料理珍道中≫

 という優しいタイトルを。


「コレにするよ、この優しくおいしいお料理珍道中」

『オッケー。分かったわ。それじゃあ行ってらっしゃい!』


 脳裏に真っ赤な短い髪をツインテールでまとめた事務員っぽい制服の女の子の映像がチラつく。それが電書ちゃんだ。

 幼い―外見だけで言えば十歳ほど、最も彼女はAIである―少女にナビゲートされて僕は書籍の世界へと導かれる。

 冒頭の一節は、『まだ桜のつぼみが芽吹き始めたばかりのころ、少年は出刃包丁とパンを片手に決意した』で在った。

 それから、めくるめく読書体験が僕を包み込む。



 主人公は苦心した、料理人としての己の菲才さに。だけれど得難いモノもまた在った。

 夜を超し、週を超し、月を超し、季節を超えて、少年の一生には旅と料理と、それから出会いと別れ。

 珍しい食材を得て、調理し、人にふるまう。その全てが喜びで、その全てが嘆きでもあった。

 ふるまった料理においしいと言ってもらえばもらうほどに、自己の至らなさを痛感する。

 苦悩と歓喜。それからしり上がりに味の加減が良くなっていく料理たち。

 それはまさに旅と青春の一皿だった。



『オッケー! お帰り。どうだったって、あら?』

「どうしたのって、あれ? 俺仮想現実VR機能、起動したんだっけ?」

『してないと思うけど、ちょっと待ってて』


 一冊を読み終えた僕は極々普通に読書を終えるはずだったのだけれど、どういうわけかニューロン回路を利用した電脳空間へと跳ばされていた。


『————————おまたせ』


 仮想現実VR空間に電書ちゃんが戻ってきたのだけれど……。


『どうしたの変なモノを見るような表情して?』

「いや、だってそんな表情にもなるよ……」


 電書ちゃんの声が重なる。


『どうして?』

「だって、電書ちゃん増えてるし――!」

『えぇうそ!?』


 嘘じゃない嘘じゃない。僕の目の前には電書ちゃんが二人いるように見えるもの。


「はいじゃぁこの指先を見て? それから、合わせて首動かしてね」


 僕は両手で同じように人差し指を立てて、それから両指を内側へと倒した。

 二人の電書ちゃんは僕の指示通りに首を勢いよく捻る。


「電書ちゃん電書ちゃん、揃って逆。反対反対」


 お互いに背を向けてしまった。


『こっちじゃないのね』


 二人は声をぴったりと揃えてそれからくるりと背面へと振り向く。


『うわっ、ほんとう!』


 お互いにびっくりしつつお互いの頬を引っ張りあっている。なんとかわいらしいことか。


「ね?」

『うん』

「でさ、どうだった? 何かわかった?」

『それなんだけどね。また、みたいなの』

「あぁ、またなんだ……」


 確か先週もだったはずだ。これで月間記録は無事更新されそうである。

 いや無事ではないか、というか普通はそんなにあっちゃダメな奴だった。


「で、今回は……?」


 僕は数度ばかり瞬きをしていた。たったそれだけだったのだ。だというのに――、


『あぁ! また増えてる!』


 二人の電書ちゃんが気が付いたら八人の電書ちゃんに増えていた。


『もう! なんなの!💢』


 電書ちゃんの怒りの声が輪唱される。いや、この場合は共鳴だろうか。どちらでもいいか。


『あっ、来たわ』


 電書ちゃんのつぶやきと同時に僕の脳内にもあるメッセージが響き渡った。


≪偽物の電書ちゃんの中から本物の電書ちゃんを見つけ出せ!≫


 なるほど、このタイプか……。

 だけど、八人くらいなら、まぁそんなに難しくは、な……い……ん……だけど……。


『ごめんね、あたしなんか百人くらいに増えちゃったっぽい?』

「うはっ、これはこれで幸せ……」

『最低💢』


 電書ちゃんに怒られた。でもこれもいい。


「けど、偽物とはいえみんな電書ちゃんなんでしょ?」

『それはそうね』

「だったら、簡単だよ。電書ちゃんは割とお節介焼きで首突っ込みなツッコミ気質のところがあるから……」

『💢』


 採算の僕のボケ攻勢にちょっとご立腹らしい。


「だから、ほらお願いすれば偽物も名乗り出てくれるでしょ? それで名乗り出なかった子が本物!」

『そんな簡単な手は打てないわよ。だって、みんな自分が本物だって思ってるもの!』


 あちゃー、やっぱりかぁ。そんな気はうすうすしてたんだ。


「うーんじゃぁ何か手を考えないとか……」


 それにしても多い。

 わちゃわちゃと思い思いにお互いの頬っぺたを抓り合っているようだった。

 いや何で電書ちゃんはみんなして人の頬っぺたを抓ってるんだろう? まぁいいか、かわいいもんね。

 そして、僕は考え込む。みんな大好き考えるポーズだ。

 うーむ。何かいい手はないかな。


「皆の好きな食べ物は?」

BTブラックサンダー!』

『TKB!』


 電書ちゃんの群れの中から一人だけ間違った回答をしてくれた偽物電書ちゃんが見つかった。


「おまえは偽物だぁ!」

 ずびしと指さす。


『あぅ、正解!』


 さすれば、どろんと煙のように消えてなくなってしまった。

 くそう、僕の電書ちゃんハーレムが……!


『今おにーちゃん、変なこと考えたでしょう?』

「うぅ、君も偽物だ……」


 早くも二人目がぼろを出した。この調子なら割とすぐ最後の一人に絞れるかもしれない。この調子で芋づる式にいければの話だけれども。


「はぁ」


 ため息とともにない空を仰ごうとした僕は、なんと運の悪いことか盛大にバランスを崩してしまった。


「うわっっ」

『きゃー!』


 あれ、おかしいな倒れ込んだはずなのにいたくなかったぞ?


『いたた、早くどいて』

「う、うん。ゴメン……」 


 どうやら電書ちゃんを巻き込んでクッションにしてしまったらしい。なんて恐れ多いことをしたんだろう……。

 手で、床を推して立ち上がろうとしたのだけれど、


「あっ、仄かに柔らか……」

『いっ、イヤぁ……』


 何故か僕は電書ちゃんのロリロリしいお胸を揉んでいた。


 しかして――、

「偽物だ……」

 ドロンと、またしても電書ちゃんは霞と消えた。


『ひっどい💢 引くわ💢』


 そして僕は確信した。

 確信して、思わず抱き着いた。十歳の女の子に抱き着いた。そのないお胸に頬づりした。


『💢』


 声にならない声と共に小さな拳で頭をどつかれた。ご褒美だった。

 我ながらここが仮想現実VR空間で良かったと、本当によかったと続けて思う。

 だって、現実だったら完全に事案でしょう?


「君が本物!」


 どろん、と電書ちゃんが一斉に消え失せてしまった。

 僕はほっと胸をなでおろす。電書ちゃんのお胸は物足りなかったけど柔らかかった。

 って、僕は十歳の女の子相手に何を考えてるんだ……。でも電書ちゃんなら、いいかな……。


『いいわけない!💢』

「えっ!?」


 嘘だ、なんで聞かれてるの? というかどういうこと?


『あなたの思考ダダ漏れよ』


 なんということだ、うっかり口に出してしまったわけではなかったようで一安心。

 けど……。これはいったい?


『結果出たみたいね。スコアは七分十一秒。一位の人が四分三十二秒だから、中々いい成績じゃないかしら』


 一位の人からダブルスコアつけられることは何とか避けられたわけだ。良きかな良きかな。

 それから少ししてぶつん、と塞がれていた意識が現実へと放り投げられたような感覚が生じ、明白な呼吸感と共に、僕の意識は現実へと舞い戻った。

 ヘッドセットを繋いだタッチグラムに手を伸ばし、それらの端子を取り外す。頭に装着したものも一緒に取る。



 さて、僕と電書ちゃんが巻き込まれたのは何だったのか。それを少し説明しようと思う。

 電書ちゃんが人工知能AI内蔵型の電子書籍支援アプリというのは先ほども説明したと思う。

 つまりこれは個人個人の使い方によって電書ちゃんは全く違う進化をしていくということなわけだけど、それじゃあオリジナルの電書ちゃんは一体どうなってしまうのか?

 そんな疑問に端を発した平和的な電脳テロ。それがこの電書ちゃん無双と呼ばれるユーザー巻き込み型の大量アカウントクラッキング事件なのだ。

 つまり、オリジナル電書ちゃん論者を自称する過激派集団が月に最低四回程度、オンライン状態にある電書ちゃんアプリすべてにクラッキングを仕掛けて、原初の電書ちゃんを取り戻そうと、そういう催しを開催する。

 我ながら訳が分からない。が、電書ちゃんの開発チームも優秀なので毎度毎度のイタチごっこを続けて現在に至る。

 そして電書ちゃんアプリについた二つ名は『萌える鉄壁、最強のファイアウォール』、なんていう仰々しいモノだった。

 どのくらい守りが固いのかといえば、端的に言って有料のセキュリティソフトよりもずっと固い。セキュリティソフト会社は早く電書ちゃんアプリの開発班の人員を引き抜くべきだと揶揄される程度には固い。

 そんなわけで、この毎週恒例クラッキング電書ちゃん無双は半ばユーザーに認められたお祭りなのである。いや、本当は楽しんではいけないのだけれどね。



「ねぇ、電書ちゃん?」

『あらどうしたの、しんみりした声出して』

「ゴメン、何でもなかった。晩御飯の準備するから、レシピ頂戴? あっ、BTブラックサンダー以外のやつでね」

『ないわ』


 僕と電書ちゃんの読書体験にはきっとまだまだ未知なる扉が待っている、そうに決まっていると思う。


 了

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モニタリングというフィルタの介在する電書のアイドル短編集 加賀山かがり @kagayamakagari

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