第15話 悪役の位置づけについて・前編

 ところで物語における悪役の位置づけは、できるだけ早い段階で決めておくほうが良いです。ここがぶれると、物語の着地点に悪い影響が出ます。



 位置づけを決めるには、先に述べた悪役の6分類をガイドラインにするか、少し踏み込んで「ラスボス、中ボス(幹部)、チンピラ、悪とは言い切れない好敵手」のどれに該当するかを考えるのが楽だと思います。


 上記の分類で「中ボス」を選んだとしたら、次は「登場するのは今回限り」なのか、「しばらく登場するが●章で退場」なのか、「最後まで生き残る」のかを決めると良いでしょう。


 中ボスの末路、つまり最終的に主人公と戦って死亡するのか、敗北するものの生き残るのか、和解するのか、決別するのか……などもはっきりと定めるほうが後々のためです。



 この位置づけがあやふやな状態で、思った以上に魅力的な中ボスができてしまうと、物語を脱線させる危険因子になります。


 強くて面白いキャラクターができれば、作者としては「もっと活躍させてやりたい」と思いますよね。「いっそラスボスに叛旗をひるがえせば面白いかも!」といった妄想が膨らめば、メインストーリーを曲げたくなることもあるでしょう。


 これは大変危険な誘惑です。最悪の場合、書いている途中で物語の結末が見えなくなり、途方に暮れる羽目になります。



 次話では、実際に大変な目に遭った例を紹介します。

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