第53話 ツバキ・リン・ニタ

 里が見える。久しぶりの忍者の里だな。

 それにしてもこの魔法。移動が簡単にできる魔法をルートが持ってるって知ってトオルすごい怒ってた。

 ルートの勇者伝説の為だ! って言葉にさらに激怒してたけど、結局許すトオル。優しいよな。トオルは。

 私がついて行くと言っても結局許したし。刀が魔物相手に使えないとわかるとすぐに新しい武器を購入しようと言ってくれた。

 私が知ってた勇者とは随分違ってた。始めは里を作り、忍者を生み出した信長様と同じ勇者だ! 魔王の城の近くには信長様の城もある! ってトオルについて行ったけど、だんだんトオルの勇者が好きになった。


 目的地に到着! さあて、切りますか!


 ザバッザバッザバッ!

 サクラが魔法を如月にかけてくれたので魔物は切ると同時に姿を消す。

 トオルが倒した魔物を消したいと言い出したのを、サクラがあっさりトオルの剣と私の如月とリンのペンに魔法をかけてくれた。ニタは自分でやると意気込んで出かけて、大喜びで出来た! と帰ってきた。


 ニタに剣術も出来ないなんてと言ったら、トオルに剣術を教えてくれるように頼み込んで断られてたな。ニタってときどきわからない。


 そうそう、魔王退治にって言われてた腕輪や指輪やマント結局装備し忘れて魔王の部屋に入ってたんだよね。ずっと私が持ってたんだけど、ジュジュの服を取り出す時に出て来た!

 もうすっかり忘れてた。私も。魔王がサクラで良かった。ホント!




  ***




 トオルに魔物退治の合間にサクラとツバキとジュジュで買い物に行って買ってきた服を見せに来た。トオルの部屋のドアを叩く。

 ドンドン!

 もう! また開けてくれない。部屋はサクラが魔法であっという間に七人分作り出した。え? サクラ部屋なかったの? と聞いたらあの最初の部屋にずっといたみたい。面白そうだからって自分の部屋も作ってみたって。

「トオル、魔法使うよ!!」

 この前入れてくれないから部屋に私の山を降らせたら、真っ赤な顔で出てきた。

 仕方ない。本を取り出し書いてたら、

 ガチャ

「リン入れ」

 パタンと私は本を閉じて、トオルの部屋に入る。

「ん! 可愛い!」

 って言ってトオルは私を部屋から出そうとする。

「嫌だ! それじゃあダメ!」

 トオル全然見てくれないし……。

「もういいよ」

 部屋を出て行こうとすると、腕を掴まれた。

「それで人前出るな。肌出しすぎだ。わかったか?」

 どうせ魔物の前しか出ないんだけど。

「うん。わかった。可愛くない?」

「あーもー! そういう問題じゃない! 肌出しすぎだ。可愛いけど人に見せるな!」

「うーん」

「悩むな!」

「わかった。じゃあ、次着て来るね!」

「次?」

 トオルの声を背に自分の部屋へと急ぐ。猫耳も禁止されたのに。トオルって注文がうるさいな。次はあの服着ようっと!




  ***



 ルートの魔法で城に帰る。

 ルートは魔王伝説を書き換えてる。サクラに話を聞いて。なんか魔法で話が盛り上がってすっかり仲良しだ。勇者伝説の方がおろそかになってる気がするんだけど。

 ルートは魔法で勇者伝説も魔王伝説改めサクラ伝説を配信してる。僕たちが魔物を退治してまわって魔物がドンドン姿を消してるからかルートの功績か魔王の存在の認識が変わってるみたいだ。


 僕の魔法もドンドン進化してるのに! 剣術出来ないってツバキに言われちゃった。トオルに剣術教えてって頼んだけど断られたんで、密かに街の道場に通って特訓してる。いつかツバキに見せれるようになれたらいいな。


 そうそう、ツバキ街に買い物中にまた妖刀と出会った。今度は睦月っていうらしい。ツバキは二刀流になってる。可愛い。



  ***

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