第44話 美桜は寝ている

「よく寝てるわね」

「うん」

美桜ちゃんが寝て、部屋に運んでから、母はコーヒーを2人分入れて、切り出した。

「……美桜ちゃんどうなると思う?」

不意に、美桜ちゃんの事が心配になった。聡夫の時の我妻家の襲撃を考えれば、いつ襲われてもおかしくないと思ったからだ。

「このまま何も起きないのが1番良いんだけど、千代子と、その子供が黙って見てくれるとは思えないわ。近い内に、何かコンタクトがあるかもね」

「……だよね」

それが1番可能性が高い。

「でも、美桜ちゃんには自分らしく生きてほしい。何も知らなくていいからね」

「貴方は何も話さないつもりなのね」

そりゃそうだ。美桜ちゃんだって、自分で全部知りたいって言うまでは知りたくないはずだから。

「望まれたら、教えるわよ?」

「もちろん」

教える事が、美桜ちゃんの為になるかもしれないし、ならないかもしれない。だけど、自分で選んだのなら、それを尊重すべきだ。

「そう」

後悔はしてない。今はまだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る