第25話 邂逅

一体、どういう事だ。何故起きると、もう日が沈み始めているんだ。いや、理由は分かっている。単に朝からずっと寝ていただけだ。

「およそ10時間。よく寝たわね?」

「部屋をノックせず開けた上に開口一番嫌味ですか。それと、剣君の13時間越えよりもマシだと思うんですけど?」

「そうよ。開口一番が嫌味よ。それと、どっちも寝過ぎなのは変わりないと思うんだけど」

「ですね」

奏さんはあれから一睡もしていないらしい。それでよく今まで起きていられるものだ。

「訓練されたからよ。3日は寝ずとも平気よ?」

「……何も言ってませんよ?」

「顔に出ていたわよ?」

「そうですか……やっぱり衰えましたか……」

「でもまぁ、一般人には分からないから良いんじゃないの?」

「良いかもしれませんが、気にならないかと言われれば気になります」

「相変わらずの完璧主義なのね」

「だいぶ抜けていると言われますけどね」

「そうね。今も腹の底を見ようと思えば見えそうな程ね」

自虐したのだが、余計に傷を抉られた。間違えてはいないけれど。

「1、2時間ほど外に出てきます」

「何も食べなくていいの?」

「えぇ。夜中に話した事の手回しみたいな事をしてくるだけですから」

「そう」

言葉の意味を正確に理解し

こちらの領域に無遠慮にズカズカ入ってこないのはとても助かる。

「いってきます」

「これから晩御飯は用意してあげる」

「それはとても助かります」

美桜が出て行った今となってはこの条件はとても有難かった。




僕がまず向かったのは、手紙を僕に仕掛けた奴がいる所だ。

「えっと……ここをこうして……こう抜けて……」

ちなみに、剣君が開けるように言わないと行けなかった場所は、迷わず行けた。理由は1度ルートを剣君が見ていてくれ、あんなに考えれる時間があったからだ。

「悪魔の種族長。出て来いよ。変態秘書の登場は望んでないから」

近くの壁に隠れている悪魔秘書がビクッとなった。気配を殺すのが下手過ぎるから下手すると剣君でも見破れる。

『久しぶり?……いや、初めましてか。我妻聡夫』

「へぇ〜。それぐらいは見破れるんだ」

『まぁな。それより、いつもと話し方の差があり過ぎる気がするんだが……』

「別にいいじゃん。お前が堅苦しいのが嫌いなのは知ってるし、それ以前に知らない仲・・・・・じゃあるまいし」

『へぇ〜』

悪魔はニヤッとしながら僕を見る。

『それじゃあ、奥に行こうか。秘書はそこに置いといて』

「もちろん。連れて行くって行ってたら、秘書を行動不能にしてから行くだけだが」

悪魔秘書は再びビクッとした。

腹の探り合いはもう始まっている。

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