コイバナ

 とある小学校。放課後の教室で二人の少女が話していた。


「ねぇ、沙希ちゃんは好きな人っているの?」

「……秘密」

「えぇ、いいじゃん、教えてよ」

「ん~、七海ななみちゃんは?」

「え?わたし?えっと、いる、よ?」

「え?誰?教えて」

「その前に!沙希ちゃんがいるのか答えるのが先!」

「う、うん。えとね、わたしも、その、いるよ?」

「そうなんだ」

「……」

「……」

「同じクラスの子?」

「うん。沙希ちゃんは?」

「わたしも」

「誰?教えてよ」

「……秘密」

「何で?」

「七海ちゃんは?」

「わ、わたしは、その、秘密」

「じゃぁ、わたしも言わない」

「わたしが言ったら、沙希ちゃんも言う?」

「……うん」

「じゃぁ、せぇの、で一緒に言おう?」

「うん、いいよ」

「せぇの」


「……」

「……」


「あ!沙希ちゃん、ズルい!言わなかった!」

「七海ちゃんもだよ」

「う、そ、そうだけど……」

「やっぱり、言うのやめない?恥ずかしいし……」

「でも、わたしは沙希ちゃんの好きな人、知りたい」

「わたしも、七海ちゃんの好きな人知りたいけど…」

「じゃぁ、もう一回、せぇの、で。ね?」

「う、うん」

「約束だよ?言わなかったら怒るからね?」

「うん。七海ちゃんもだよ?」

「うん。せぇの、」


「沙希ちゃん」

「七海ちゃん」


「え?」

「わたし?本当?沙希ちゃん?」

「う、うん。本当だよ?」

「じゃぁ、わたしたち、恋人になるのかな?」

「そう、だと思うよ」

「ん~、恋人って、何するの?」

「抱き締めたり、キス、とか?」

「う、なんか、それは恥ずかしいね」

「そうだね」



 二人は照れたように笑みを浮かべると、手を繋いで仲良く帰っていった。

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