姉妹喧嘩

「お姉ちゃん!冷蔵庫に入れてあったわたしのプリン、勝手に食べたでしょ!」

「え?あれ、あんたのだったの?ごめん」

「ごめんじゃない!あれ、限定品で、朝から並んで買ったのに!わたし、楽しみにしてたんだよ!」

「そう言われても、食べちゃったものは仕方ないでしょ。今度代わりのもの買ってくるから許してよ」

「ダメ!お姉ちゃんいつもそうじゃん!わたしの服だって勝手に着てくじゃん!」

「そういうあんただって、私の服借りてくじゃん」

「わたしはちゃんと借りていい?って聞いてる!でも、お姉ちゃんは勝手に持ってくじゃん!わたしと違って、お姉ちゃんはファッションセンスいいんだから、自分で買ったやつ着ればいいじゃん!」

「はぁ?私の服って、どうしてもマンネリしがちになるの。つい似た服買うから。その中で回すの大変なんだから。でも、あんたのは私とは違うから借りるんじゃん」

「マンネリでもいいじゃん!街で二人で歩いてても声かけられるのお姉ちゃんばっかじゃん!」

「え?何?あんた、あんなバカな男に声かけられたいの?あんなの、体目当てがほとんど。相手するだけムダ」

「そんなの、わたしだって知ってる!でも、わたしがどんな思いで歩いてるか分かる?お姉ちゃんばっかで、惨めな思いしてるんだから!」

「はぁ?じゃぁ、言わせてもらうよ?あんた、今まで何人の男から告白された?」

「お、覚えてないよ、そんなの!」

「でしょうね。告白される度に自慢してきて。ねぇ、知ってる?私は告白なんてされたこと、一度もないんだよ?こっちの方が惨めだっつぅの!」

「わ、わたしだって好きで告白されてるわけじゃない!」

「そのわりにはいつも嬉しそうに話してんじゃん!」

「嬉しそうになんてしてない!面倒なだけ!」

「いつもにやけながら話してくるじゃん!自分が可愛いって分かってんでしょ?そんで、性格までいい、本当、私の方が羨ましいくらいなんだよ!」

「違うよ!お姉ちゃんの方が美人だよ!スタイルもいいし、おしゃれだし。わたし、お姉ちゃんみたいになりたいって思ってるくらいなんだから!」

「それ、逆!私があんたみたいになりたいの!」


「うるさい!仲が良いのは分かったから、姉妹でじゃれてないで、静かにしなさい!近所迷惑でしょ、まったく」


「「ごめんなさい、お母さん……」」

「あんたのせいだからね」

「違うよ、お姉ちゃんが勝手にプリン食べたせいだよ」

「あぁ、もう、分かった。私が悪かった。どうしたら許してくれるの?」

「……キス」

「え?」

「キスしてくれてら許す」

「な、何で?」

「だって、味、残ってるかもしれないし……。だから、その、キスしたら、分かるかもしんないから」

「分かった。じゃぁ、目、閉じて」

「うん……」

「これで、いい?」

「ダメ。まだ、味、分かんない。もっと、して?」

「はぁ、仕方ないなぁ。ゆっくりと、味わいなさいよ」

「うん。…………………………」

「どう?」

「うん、美味しかった。ごめんね、お姉ちゃん」

「私の方こそ、ごめん。大好きだよ」

「うん、わたしも大好き」

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