第4話 秘密

朝ごはんを食べた後に俺は考えていた。

ウィズは何かを隠している。

それが何かはわからないけどきっととても重大なことだ。じゃないとあんな泣き方はしない。

しかしどうやってその秘密を聞き出すか…無理に詰め寄って嫌われたら……うん死ねる。

どうやってウィズから秘密を聞き出すかを模索していた最中、本人が登場なさった。

「あの…カズマさん少しお話が…」

ウィズの方からそう切り出された俺は少し身構える。

「私…バニルさんがここに送り出した理由、わかりました。」

「それはウィズがいると何百年かかっても黒字にならないからだろ?」

俺が当たり前のようにそう返すと、ウィズは少し困ったような顔をして

「酷いです」

と言って少し微笑んだ。

「確かにそれもあるかもしれません。

ですがそれ以外にも理由があったんだと思います。」

「それが昨晩のことに繋がるのか?」

なかなか本題に入らないウィズに俺は単刀直入に聞いた。

「………はい」

ウィズは辛そうに頷いた。

「良かったら話してくれないか?俺は最弱職の冒険者かもしれないけど幾度となく魔王の幹部と渡り合ったカズマさんだぜ?手伝えることがあったらなんでも手伝うからさ。」

少し冗談を混じえて言った。

それを聞いたウィズは少し驚いた顔をしてその後クスクスと笑いだし。

「では…私と一緒に魔王さんの部下になりませんか?」

え……?

「今なん…」鈍感系主人公を思わせる俺の発言に被せるように

「幹部の数が減り戦力が足りないということで私とバニルさんが呼ばれたんです

「最初はもちろん断りました。前にも言いましたが私はまだ心だけは人のつもりなんです」

「けど魔王さんは…「もし魔王軍に付かないのであればアクセルの街を破壊する」と言い出したんです…」

「酷いじゃないですか!…そんなの断れるはずがないじゃないですか!

私の店によく顔を出してくださった人、私をパーティに誘ってくださった人、私の店を応援してくださった人…めぐみんさんやダクネスさん、アクア様に…なによりカズマさんがいる街を破壊されるくらいなら…!」

途中からウィズの目からは大粒の涙が溢れ出していた。

「ウィズ…」

そんなウィズを庇うように抱きしめた。

リッチーと呼ばれるウィズの体はどこにでもいる女の子と同じくらい細くて柔らかかった。

抱きしめられたウィズは一瞬ビックリしたように体をビクつかせたが、すぐに力を抜き抱かれるがままになった。

恐らくバニルはこれがウィズと過ごす最後の時間になると分かっていて俺たちに預けたのだろう。だからってはい、そうですかってウィズを渡そうとは思わない。

「ウィズ…俺決めたよ、魔王は俺がぶっとばすわ」俺は異世界に来た理由を思い出しながらそう決意した。

しかしそんな決意にウィズは

「そんな!私のワガママなんかにカズマさん達が巻き込まれる必要はありません!私が魔王さんの部下になればそれで済む話ですから!」泣きながら反対してきた。

俺だって魔王なんかと戦いたくねぇよ。考えただけでもションベンちびりそうなんだよ。………けどこいつの前だけでは格好をつけておきたいから。

「ウィズ…お前のワガママなんかじゃない、これは街全体の問題だ。それにもともと俺は魔王を倒そうと思ってたんだよ、それが少し前倒しになっただけだ。何も問題はないよ」

俺な無理矢理笑顔を作る。

「…………カズマさんはどうして私にそこまでしてくれるのですか」

ウィズが涙目の上目遣いでそんなことを聞いてきた。

お前が好きだから…なんて言えればかっこいいんだろうなぁ…けど俺にそんな勇気はない。

「………お前がウィズだからだよ」

だから少し誤魔化しながらそう答えた。

それを聞いたウィズは俺に聞こえるか聞こえないかくらいの声で

「意気地なし…」そんなことを言ったがその顔は少しいつものウィズに戻っていた。









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この素晴らしい世界にラブコメを! ヤマト @sakura_0330

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