17 ジュン

 ココイチのカレーを二人分持ってミナの部屋に行った。今日はミナの休みの日だった。俺は十九時には戻らないといけない。ミナに海老煮込みカレーうずらトッピングを渡す。


「昨日一人女の子が辞めたんだ」


 ミナはカレーを食べながら神妙な顔で俺の話を聞いていた。


 女の子に何かあったら、すぐに携帯に連絡をもらうことになっている。昨日の客はどっかのヤクザで、いきなり襲いかかって来られて両腕を縛られたと言っていた。店の女の子はヤクザにヤられて泣きながら車に戻って来た。俺は社長に連絡した。


「それから、そのチンピラの部屋に行ったんだ。そいつは詫び入れて罰金の三十万を出してきた。その三十万は女の子に渡した。かなりつれぇ仕事だったよ」


「マジで罰金とかあるんだね。うちの店では今んとこ聞いたことないけど。そういえば昨日、救急車来たんだよ。客がシャワールームでゲロって動かなくなったらしくてさ」


 ミナは可愛い顔で美味そうにうずらのフライを食べていた。俺は自分の分のつもりで買ってきた、チキン煮込みウインナートッピングの大盛りが食べれそうになかった。

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