第5話 いきなり問題発生!?



時がたち、本格的に人が増えはじめた。テントを仕舞いパークエリアを出るところで博士がまた紙を出して言った。

「今日はセンターエリアって言う所の一番偉い人のとこに行くよ。」

「へ?一番偉い人?いきなりですか?」

「そうそう。いくよー!」

そんなことを言いあいつつ金属探知機を大きくしたようなゲートを潜ろうとした時、警報音が鳴り響いた。

するとゲートの横のドアが開き、中から警備員がでてきた。

「君達、パスカードはどうした?失くしたのか?」

「パスカード?必要なんですか?」

「パスカードが無いと此処は通れないぞ。」

拙いな。と慌てたレオルであったが博士に肩をたたかれた。

「すいません。気づいたらなくしてしまって」

「なんだ。それを早く言ってくれ。」

警備員も納得したところで仮のパスカードを発行してもらい

「じゃあこのカードとこっちの紙を持ってセンタータワーに向かってくれ。そこで新しくパスを作ってもらうといい。」

「分かりました。有難うございます。」

無事にゲートを通過したところで博士に

「ああいうところでは落ち着いて対処するんだよ。」

ウインクされながら言われ、レオルは、成程一つ賢くなった。と一人ごちた。

あたりを見回すとたくさんの人が歩いていた。

「それにしてもたくさんの人だな。俺達のいた世界よりいるぞ。」

自分達のいた世界より人がいる事に驚いた。

そうして喋りつつ、風景を見ているうちにセンタータワーに到着した。

中に入ると様々な窓口があった。その内の新規パス発行と書かれた窓口に2人は向かった。

「おはようございます。本日はどのようなご用件で?」

そこには、いかにも仕事が出来る人というキリッとした女性がいた。

なかなかに美人であった。可愛いというより美しいというべきである。

レオルがおー、と見とれていると博士に足を踏まれた。

「パスカードの新規発行をお願いします。」

若干不機嫌そうな博士が仮発行してもらったパスと先程警備員に渡された紙を提示した。

「はい。新規発行ですね。ではこちらに必要事項を記入してください」

と渡された用紙を見ていくと幸いなことに文字は自分達の世界と同じだった。

用紙をを書き進めていくと最後のところで住所と書かれた欄があった。

しかし、レオルと博士はこれに記入ができない。なぜなら自分達はこの世界の住人ではないからだ。

どうするべきか考えていると、博士が

「あの~すいません。私達異世界から来たんで住所がかけないんですけど。」

(ちょぉおぉ…そこで言う!?)

「博士!?なんで言っちゃうのですか!?」

小声で博士に抗議をしチラリと女性の方を見ると彼女は困った顔で

「えーと…それは一体どういう…?」

と返答するも博士は笑顔で

「だから私達は別の世界から来たの。」

「別の世界…?」

「だーかーらー!私達は別の世界から来たの。」

こうなった博士はもう止められない。

窓口の人と押し問答を繰り返していると

「どうしたのかね」

背後から声がした。

レオルが振り返るとそこにはスーツ姿の中年の男性がいた。

「あ、社長。」

その言葉を聴き博士も待っていましたとばかりに振り返る。すると社長は笑顔で

「いやー、興味深いことをおっしゃっているようですな。立ち話もなんですから私の部屋で伺いましょう。」

言われるがままについて行く。エレベーターでタワーの最上階まで行く。

そこはワンフロア全体が一つの部屋であった。また、そこからは町の風景が一望できた。

「お座りください。おっと申し遅れましたね。私、石原 鉄と申します。ここの社長であり、この都市を統括しております。さて先ほど話されていた異世界からいらしたと言うのは?」

その質問に博士は

「言葉道理です。私達は異世界からきた。だから住所を書くことは難しい。」

石原はあごに手を当て少し考え込んだ

「なるほど。わかりました住所は書かなくてよろしいですよ。」

その回答にレオルは驚き

「信じてくれるんですか!?」

石原もレオルのほうを向き

「人生にこういった不思議な出会いはけっしてないわけではありません。だからこの奇跡の出会いを信じることにした。それだけですよ。」

そして博士に向かって

「パスは発行します。ですがなにかの団体などに加入する場合はこちらのカードを提示してください。」

と2人にカードが渡された。そしてその部屋を退出し窓口でパスを受け取った。

タワーとでて時計を見るとお昼前だった。

「博士、次は何をするのですか?」

「確認したいことが1つあるからここにいて。」

レオルを残して近くの店らしきところの入っていった。

少しして店から出てきた博士がレオルに

「当たり前だけどやっぱり私たちの世界のお金は使えなかったわ。」

「あ…たしかにそうですね…如何しましょうか…」

お金がなくては生活もできない。そして博士の計画も達成できない。だが博士はレオルの肩に手を置いて言った。

「まだ諦めるには早いよ。レオル、これを受けるんだ。」

と博士が1枚のチラシをレオルに見せた。そこにはセントラル学園入学試験と大きく書いてあった。詳しく詳細を見るとそこには成績優秀者は3年間の学費と寮費を免除と書いてあった。

「博士、これを受けるのですか?」

「とりあえずやるだけやってみよう。大丈夫レオルなら学費免除も余裕だよ!」

失敗したらそれで終わりであるが、なぜだかレオルには出来そうだった。

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