第29話 骨折

パート練習をさぼって、陸上部の部活を眺めながら校庭の鉄棒で降り技の練習をしてたんです。


現代のオリンピックでは、3回転やらムーンサルトなんてすごい技がありますが、練習していたのは1回転のスワンという技だった。

ケッカンとと私は、同じ小学校だったのですが、その小学校の体育の先生が元体操選手だった関係で小学生にもできる器械体操技を色々教えてもらい、一時は鉄棒競技が大流行りしたのです。


その関係で、手の平が全面にズル剥ける程練習していた時期もあるんです。

男子は、ほぼ全員が蹴上がりは、普通に出来ていました。


車輪はサポートがないと危険なのだが、降り技ならイイだろうという安易な判断で決行しました。危険な技ではありますが、100回やって99回は成功する位だったつもりだったのだが、そのときは、運悪く残り1%だった。手を離すタイミングが遅すぎて、そのまま空中で1回転まではしたのだが、足先が鉄棒にひっかかり、そのまま今度は頭から地面に落下したのだが、左手で反射的に防御してしまったのです。


左手首に落下加速度のついた全体重が加わり「バキ!」と骨折。


「やべ~なあ!練習さぼって、怪我までしてしまった!」

という反省と怒られる心配のほうが先だった。


それにしてもレントゲン写真では、

「ウッソー!」という位に見事に粉々になってた。


それで懲りるのが普通なんだが、ギブスが取れて早々、

「1%は済んだから当分は失敗は無い」

と信じてもう1度、今度は車輪中に手が離れて、かなり離れたコンクリートの壁まで空中を飛行し激突して気を失うという大バカ野郎でした。


その時の気を失う寸前、なぜか、

「う~~~~ん!」

という声が自分の意思とは無関係に発せられたのだけは覚えてます。


背中を強打したんで、呼吸ができない!と思いながら意識がなくなりました。


気を失っていたのは、ほんの数分だということなのだが・・・自分自信の感覚では、長い事寝ていた感覚だった。


気がついた時は、なにやらみんながこちらを覗き込んでるところでした。


99%の成功率は、自分で勝手に決めた願望だったということに気づくのが遅すぎやがな!

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