第21話 2B弾とコーラ瓶

2B弾が全国的に大流行したことがある。初期版は、子供の玩具にしては火薬の量が少しばかり多すぎたようで、全国の新聞で「指を飛ばした」とか「失明した」というニュースが新聞報道され、ひんしゅくを買ったやつです。

その後に、全国的に禁止されて火薬量を減らした次期バージョンが出たが、まったく売れなかったようです。ところが、この初期版が買える店があったのです。


当時は、今のように個人商店の規制までは厳しく取り締まるというような事はなかったようです。


A子の家近くの釣り具屋は、鮎解禁のシーズン中は客が多かったがシーズン外では、子供を相手にしないとやっていけなかったのかもしれない。釣り具店の親父は、少年のままま大人になったような人だったので、我々みたいな少年にとっては親近感がありました。立派な大人が2B弾を店の前の歩道に投げては、破裂するのを楽しんだりする人です。いつの時代も子供は、危険な遊びが好きなのです。いわゆる単純な集客をやっていたのですね。


ブツを手に入れた我々は、さっそく天神山で威力を検証する。


 「スッゲ~~~~」

ケッカン

 「潰れたスチール缶が元に戻っとる!」

オレ

 「コーラの瓶は、どうや?」

 「それは知ってる・・口からピューと煙が出るだけだから」

オレ

 「やってみよう」


やはり、そのとうりで「丈夫なもんやなあ」と感心する。

2B弾のお尻に釘を差して川なんかに投げても、ちゃんと水中で爆発するのを経験で知っていたんで、水を入れたコーラの瓶でやろうというのである。


その瞬間は高速度カメラのような無音でスローモーションの記憶しかない。


粉々になったガラス破片と水しぶきが放射状になって3人を襲った。


着ていた服にあちこち穴まで開いているし顔も傷だらけである。


空瓶に2B弾を入れて爆発させてもびくともしませんが、水を入れた瓶の中で爆発させるとエネルギーが空中に逃げないので、丈夫な瓶も破壊してしまうのです。

利口な中学生であれば理解していただろうが、我々は、実体験からしか学べないアホでした。実際、火薬を発明したノーベルも水中で爆発実験している。


 「目、大丈夫か?」

オレ

 「みたいやな」

ケッカン

 「俺も大丈夫やけど帰って怒られるな」

 「中学生にもなって・・・てか」

オレ

 「そうだろな」


ズタ袋のようになって帰宅するバカ3人。

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