第13話 トカトントン

夏休みで1番厄介なのが自由研究なんだが、大抵は工作まがいのもんでごまかす。しかし、その頃TVかなんかで見た1人乗りのカヌーを作りたくなって父に材料を依頼する。


父 「何を作るんじゃ?」

俺 「カヌー!!本当に乗れるやつ」

父 「そりゃ、難しいぞ」

俺 「・・・・」

父 「まあ、やったら判る。明日、材料を貰いに行くか!」


父は、高林工業の社長だったので建設資材プラントへ行けば、廃材がたくさんあったわけです。私はそれの材料をせしめる事を最初からもくろんでいたのだ。翌日に建設資材プラントへ行くと、いわゆる大工さんが(一般の大工とは、厳密には違うみたいだが)工事現場用の型枠パネル等を細工していた。


大工1 「何を作るんじゃ?」

俺   「カヌー!!本当に乗れるやつ」

大工1 「そりゃ難しいぞ」

俺   「・・・・」


まるで昨日の繰り返しかと思うと、


大工2 「長さは、こん位か?幅は?」


と聞くと大工3人でギコギコトントン、トカトントン・・ってな調子でそれこそ数十分の間に船らしきものが出来上がった。しかしカヌーには程遠くて和船そのものである。「恰好悪!」とは、さすがに申し訳なくて言えなかった。


大工2 「後は塗装して中もペンキでも塗っとけば、なんとか浮くじゃろ」

大工3 「オールもいるじゃろ?」


そして、

カヌー・一式(正確には和船)が1時間程で完成したのだ。さすがにプロである。その和船をトラックで搬送してもらい家で残りの作業のペンキ塗りをするだけです。


苦労したのは、どう見てもカヌーに見えない和船の上にブリキのカバーを着けることにした。紙細工がブリキ細工に変わったようなものなので、そんなに難しくはない。


これに塗装をすると、まさしく想像していたカヌーに変身した。しかし、まさかこれが「夏休み自由研究展」とかいうところに出展されることに決まり、いまさら「大工さんに作ってもらいました」なんて告白できず、さらに追い討ちをかけるように「優秀作品」として表彰までされてしまい、「えらいことになってしまった」と反省しきりなんだが後の祭りである。


実は、その当時はカヌーと思っていたのだが、カヤックというのが正式な名前です。大人になってカヤックを購入して西宮浜で遊んでました。のんびりした時間を楽しむには、とても良いアイテムです。


https://www.youtube.com/watch?v=0aMnkZuycM4

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