第11話 身投げ岩

日付が少し前後するのだが夏休みに、練習前に近くの川に泳ぎに行っていた場所は、実は遊泳禁止区域なのです。

水門の上流に位置しており水深は、不明だが水面近くから水中メガネごしに見ると潜水している友人の姿が、とても小さくなっていくのを「深っ!」と言っていたのを思い出します。水門のスグ上流に「身投げ岩」というとても巨大な1枚岩があります。


その頂上は、水面から上は3m位の高さはあったように記憶しています。頂上部に穴が掘ってあり、それは線香を立てる穴だということを近所の婆さんに聞いたことがあります。昔から多くの人が、ここから「身投げ」をしたということになっている。


この場所は、長州藩時代には、処刑場だった場所なのです。実際に防府市は防府天満宮を中心にした門前町なのだが、天満宮を中心にみると、「身投げ岩」の位置は、裏鬼門(うらきもん)にあたる位置にあたります。身投げ岩の水面下には、川上を入り口にして水中に大きな洞窟があります。溺死した死体は、ここに吸い込まれて上がってこないという伝説もある。


それでも「飛び込み台」としては、最高に良い場所で、水面も深緑色で夏場は、さらに川土手の最高地点から飛び込んでも決して川底には着く心配が無いので安心して飛び込めるのだ。ある日、決して入ってはいけないとされているその水中洞窟に、少しだけ見てみたいという衝動にかられて入り口から数m入った。


急に吸い込まれる感覚がしてあわてて洞窟の天井部張り付いてしまった。

すでにその時は、パニック状態なんだが逆さになって岩にへばりつきながらよじ登って命拾いをしたんです。よほどあわててたんだが、爪がボロボロになってました。親戚の叔父の話によると、その地形と構造が関係しているようなのだが、奥に行けば行くほど吸引力があるようです。あの奥には、たくさんの死体が今も眠っているんだろうか?

※防府天満宮の写真の後ろに少し見える山が天神山と呼んでいました。山というより、小高い丘程度の低山です。この裏側に佐波川という鮎も採れる一級河川が流れており、そこに身投げ岩もあります。


※ちょうど、この頃、Chicago「長い夜(25 or 6 to 4)」が大ヒットしていた。


http://www.youtube.com/watch?v=iUAYeN3Rp2E

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る