AIのむこうがわ

怪奇!殺人猫太郎

AIのむこうがわ

// Web AI

var $WA = kaku_yomu.Ai;

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「AlphaGO、勝ちましたね」


「勝ったねえ、びっくりしたわ」


「人工知能が碁で人間に勝つには、もっと時間がかかると思っていました」


「ところでなぁ、碁のAIやからGOと掛けるって安直すぎると思わへん?」


「その話は前も聞きました」


「せやっけ? まぁええわ。そういえば、Googleはんは、10年以内にAIに小説を書かせるって息巻いとるらしいな」


「言ってましたねー。国内でも『人工知能が創作した作品も選考対象にする』という文学賞が出てきてますよね。星新一賞のことですけど」


「へえ。んなことやっとんかいな。おもろいな」


「第3回星新一賞ではAIの書いた小説が一次選考を突破したらしいですよ」


「ほう、そりゃすごいな」


「人工知能が書く小説って、どんな感じなんですかね? 見てみたいな」


「そんなんお前、ウェブの小説投稿サイトを開いたらナンボでも見れるがな」


「え、本当ですか?」


「ほんまや。ほら、コレなんか見てみい。毎日5000字以上、更新されるんやけどな。読み専の間では『このストーリーの脈絡のなさ、無機質なキャラクター、絶妙に不自然な日本語、間違いなく人間やなくてコンピューター様が書いとる!』と評判で……」


「だぁー! やめろ! きわどいネタはやめてください! !」


「毎日のPVが1とか2なのに、毎日更新て……ハハハ! おかしいやろ。普通の人間やったら心が折れとるで。ちなみに、投稿者についたアダ名が『R・壊れかけのレディオ』で……」


「やめてくださいってば! 泣いてる子だっているんですよ!?」


「わ、わかったわかった! 落ちついて。な?」


「はぁ……はぁ……ぐす……」


「それはそうと、星新一賞の一次選考で落ちたやつはAIに負けたわけで、これは心が折れるわな」


「ねえ、……その話、やめましょうよぉ」


「いやー、でもこれからの時代、小説書く人間の最大のライバルはAIになってくるんちゃうか? 確率論の世界では、『サルが無作為にタイプライターを叩いて、シェイクスピアの作品を書き上げる可能性がある』なんて例え話があるけどな、そういうのが冗談じゃなくなるわけや」


「いずれ長編を書けるAIも出てくるでしょうね」


「デュマやプルーストみたいな大作、傑作を書き上げるかもしれへんな?」


「いや、あなた『三銃士』も『失われた時を求めて』も読んでないでしょ」


「『三銃士』はアニメで見たで! なんでも聞いとくれや」


「はいはい。それはさておき、AIの発達は我々にとっては脅威ですよ」


「まぁでも、そんな敵視せんでもええんとちゃうか? 役に立つこともあるやろ。プロットだけ人間が立てて、実際の作品をAIがざっと書いて、それを人間が手直しして……みたいなフローで作品を作れるようになれば、文章書くのが苦手な人でも簡単に小説書けるようになるやろ」


「執筆補助具としてのAIですね」


「せや。便利やで」


「校正してくれるAIなんかも出てきそうだし、需要はありそうですね」


「Wordの校正機能とかでも結構助かるからなぁ」


「同じ言い回しが続く場面で、別の表現をサジェストしてくれたり、文体に合わない用字用語をチェックして類語をサジェストしてくれたりすると便利かも」


「あー、ええな。いまの文章やと『サジェスト』が続けて2回出てくるさかい、赤字がビビビと入るわけや」


「いらんこと言わなくていいです。それはさておき、執筆の補助具としてAIを使う未来は全然アリですね」


「人間の足らんところを補ってくれるAIなら大歓迎やろ」


「…………」


「ん? どないしたんや?」


「……いや、ちょっと考え事をしていましてね」


「なんや、唐突に。何を悩んでんねや。言うてみ?」


「あの……現状、ぼくらにもっとも足りないもの——AIに支援してもらいたいものって、何だと思います?」


「……なんや、下書きの代行や校正以外に何かあんのんか?」


「……もっと大事なものがあると思うんですよ、僕」


「……もったいぶらずに言うてんか?」


「いいですけど……。でも、その顔だと、なんとなくわかってるんでしょ?」


「……なんとなく察しはついとるけどね。で、なんや」


「…………」


「わしらに足りんで、AIで補えそうなもん。それはなんや?」


「…………読者」


「…………パードン?」


「あー! 読者ですよ! ど・く・しゃ! 作品を読んでくれる人!」


「あわわわわわわ! 言うてもた!」


このサイトカクヨムの状況を見てくださいよ! 書く人はいっぱいいるんです! でもそれに比べて読む人が圧倒的に少ない! それゆえに、あちこちでくだらない悲喜劇が起きてるわけじゃないですか」


「PV欄の0を眺め続けて発狂したヤツがおるとかおらんとか」


「新着チェックするスコッパーの数は、非常に少ないようですね」


「お返し目当てに★投げて、作品読まへんヤツとかおるらしいからな」


「そのせいで、普通の読者さんが★投げにくい雰囲気になってたりね。そういう作者間のイヤらしい読み合いが発生するにも、読み専ユーザーの数が圧倒的に少ないからでしょうね」


「同じカクヨム作家同士やのに、『あいつは不正ちゃうか?』とか疑心暗鬼になっとる人をようけ見たわ」


「人間特別のつかないAIの読み専を大量にブッコこめば、そんな問題どうでもよくなると思うんですよね」


「せやなぁ……。だいぶ雰囲気が変わりそうや」


「ですです。間違いない。僕ね、よく思うんですよ。人類はね、作品を読む際に、いろいろくだらないことに惑わされすぎだって。やれ作者がプロ作家だの、ランキングがどうだの、イラストがついてるついてないだの、作者が可愛い女の子だのってね……。!」


「あ、お前! それ以上はあかんで!」



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*kaku_yomu.AIが不正な動作を行ったため、 *

*動作を停止しました。           *

*error code=ai_skyn_1984a_000001      *

*                     *

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