<ロールプレイング・エイジ>~MMORPGを知らない君へ~





 MMORPGという略称で呼ばれる種類のゲームを知っているだろうか?


 インターネットを利用して、数千人以上の人間が同時に行うことのできるRPGゲームだ。


 当然だ、MMORPGで知らない事など何もないという向きはこのくだりはとばしてくれ。


 ちなみにRPGとはロールプレイングゲームの略だが、これは架空のキャラクターになって遊ぶゲームのことだ。


 一般ゲームでは勇者、MMORPGでは冒険者というのが最もオーソドックスなキャラクターだろうか。


 英雄として世界を救ったり、冒険者として羨望を集めたりするため、ゲーム内で戦闘を行い、強くなっていくのがポピュラーなシステムになっている。


 さて、知らないひとの為に続けよう。


 20世紀末になってインターネットが普及することで生まれたこのゲームだが、不特定多数の人間がコミニュケートできることから、様々な厄介事がゲーム会社の運営上生まれた。


 例えばリアルマネートレーディング。

 ゲームプレイヤーにはRMTの呼び名で知られるこの行為はゲーム内のアイテムや通貨を現実の金銭で売買する行為だ。


 よく知らないひとにしてみればそれがなぜ問題になるのかわからないかもしれないが、要はそのゲームを提供している人間の商売の邪魔になるからだ。


 ゲームを作って運営していく会社が、その利益をゲーム自体の価格のみでなく、月々の課金やゲーム内のアイテムの売買に求める為には、RMTは認められない行為なのだ。


 課金制ならば大多数のゲームプレイヤーの不満を呼ぶし、ゲーム内アイテム売買ならば、直に減収に繋がるのだから無理もない。


 この説明だけでピンとこないなら、現実に置き換えて考えてほしい。


 自分たちが死ぬほど苦労して手にいれたもの、或いは決して手に入れられないものを何の苦労もなく手に入れた人間を見て、何も思わない人間がどれくらいいるだろうか?


 なかにはそんなことを気にしない度量の広い人間もいるだろうが、そうでない人間のほうが多いのは間違いない。


 また、ゲーム内アイテム売買を出版業に例えるなら、マンガを好き放題に読めるネットカフェや大手の新古書店の存在などが減収のもとになるだろうことは想像に難くないだろう。


 他にもこのMMORPGで生まれた言葉で不正改造を意味するチート、あるいはマクロやBOTといった自動処理プログラムを使う行為などが、副次的な問題としてあげられるがこれも理由は同じだ。


 売り物であるゲーム内のデータを好き勝手に作られてはたまったものではないし、自動処理プログラムにしてもそれを扱えない大多数のゲームユーザーにはそんな行為は許せるものではないだろう。


 しかし、いつの世でもひとの裏をかいて儲けようとする人間は尽きず、オレもまたそれで儲ける人間のひとりだった。


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