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「茉梨さんって凄い人だったんだね……」

 日記の悲劇のヒロインの姿にはいろいろと考えさせられるものがあったようだ。美沙にとっては一度も会ったことがない人物だというのに。

「凄いよ。茉梨さんにとって優奈さんは恋敵だったのに、ここまで優しくできるなんて」

 私だったらこうはできないなと美沙は続ける。

「茉梨と優奈は仲良かったから。正直、俺なんかとよりは」

「あんた、いないほうがよかったかもね」

 冗談ではあるけれど、美沙はついついそんなことを言ってしまう。

「むしろ逆じゃないかな。同じ人を好きになったからこそ、いろいろ分かり合えるものがあったんだよ」

「店長もよくそんな解釈するなぁ。私にはわからんわ」

 まっすぐに生きてきた美沙にとってはわからない。茉梨、優奈、隆一の不器用な三角関係は。

 それ以上に、どうして茉梨も由希もこう人に対して優しすぎるのか。やはり姉妹なのだなと美沙は思う。

「だいたいどうして茉梨さんも優奈さんも、こんなヘタレ野郎を好きになったの。私、この日記を見ている分には全然わかんないんだけど」

「それは仕方ないよ。この日記には書いていないことだもん」

「……は?」

 由希はページを一つめくる。次が最後の日記だった。

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