Ⅲ
騒然とする艦内を、フィーユは彷徨うようにして歩いていた。時折すれ違いながら訝しげに見やる者は何人かいたが、殆んど自分の仕事で手一杯であるため、気にかける者は皆無だった。
まるで微睡みの中にあるような感覚。現実と夢の狭間を行きつ戻りつ……そんな感覚の中、フィーユの頭の中で、あるいは胸の内で、何かが訴えている。
戦え。
戦え。
戦え。
お前はそのためにあるのだから。
お前という存在は、そのためだけに生み出されたのだから。
この声は、一体なんなのだろう?
そう疑問に思うのと同時に、ああ、その通りだと納得する自分がいることに気づく。
私は――そのための、戦うための存在だ。
だから行かなければいけない。
戦うために。
自分を携え戦う者の所に。
ノクトの所に。
衝動にも似たその声に従い、フィーユはおぼつかない足取りで艦内を歩いていく。
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