第15話捨てろ!

 「構成」とも関係する話です。「解釈・理解」とも「考証・設定」とも関係します。また、SciFi創作論にも書いていることでもある。


 レビューを書こうとおもい、ちょこちょこみている。そこで感じることがある。その疑問は単純なものだ:

   なぜこんなにダラダラと書いているのだろう?


 それともう一つ:

   なぜどれもこれも少女が出てくるのだろう?


 文字数を稼ぐため? なら、それは何のために?

 書かなくては、書きたいことを伝えられないから? なら、何を書きたいのかわかっているのだろうか?

 興味をひくため? 少女でも出さないと興味をもたれない作品ということか?


 そのうちにこちらにも投稿するつもりではあるが、「よろこびにつつまれて」というのを書いた。そちらは別の要素も入っているからいくらか長いが、それと共通するある要素に注目した場合、どこまで短くできるか。そしてどれだけ書けば充分か。それを示すのがこれだ:

   ユニファイド・ビー


 これは日本語版と英語版を書いてある。また、初出も示してある。

 ここまで短くできるし、これ以上書くことはなにもない。自分で書いたが、英語版の方が実をいうと好みだ。そこには「」さえ現れていない。日本語版でさえ、これだけではどういうことか読みとれない? なら「考証・設定」に書いたように、あなたは読む段階に到達していないだけだ。到達していないという書き方は誤解を生むかもしれないから、言い直してみよう。理解するために必要な共有できているはずの知識にズレがあるのだ。そして「ユニファイド・ビー」はだいたい最近の状況だけからわかることだけを書いている。そう、つまりあなたは読むために必要な現状の情報系技術についてすら知識が欠落しているのだ。……あれ?

 おそらく、「形容と説明、描写は悪手」に書いたことだが、描写にのみ考えが向いているのではないだろうか。

 それはおかしい。雑感でこれまで書いたように、あるいは他に書いたように、それらはまず最初に捨てなければならない。その作品の根幹は何なのか、まずはそれを見つめなければならない。そして必要なら、必要な分だけを描写などをすればいい。

 つまり、「」と「」が、主客転倒がおきている。いや、主客転倒どころではない。「」がそもそも存在していない。レビューを書こうとおもって読んだとき、いつも感じることはそういうことだ。

 もちろん、これにはこういう声もあるだろう:

   きちんと詳しく書かなければ伝わらない。


 ならば、それは「詳しく書かなければ伝わらない」という曖昧な、ぼんやりとしたことを書こうとしているということだ。そして、それは「形容と説明、描写は悪手」に書いたとおり、ただの悪手だ。さらには、書き手のあなたにおいてさえそれはぼんやりとしかわかっていないということだ。

 あるいは複雑な人情は簡単には書けないという意見もあるだろう。それは、「構成」において、ではその人物の機能がなんなのかがわかっていないからだ。


 ここで、指輪とかの長編はどうなのかという話もでてくるだろう。ならば、たとえばそれから一文を取り除いてみればいい。もはやそれだけでその作は崩壊する。

 捨てに捨てた上で、それでも書かなければならないことがらと、とりあえず書いておこうというのは全くの別物だ。

 そしてもちろん、ながければいいというのも幻想だ。もっともカクヨムのコンペはこれからも文庫化一冊分を基準に行なわれるだろう。そちらを目指す人は、どうでもいいことで水増ししてごまかすというのもたしかに一つの方法だ。いや、そもそもが存在しないのだから、そんなことを考える必要もないのだろう。


 俳句とまではいかない。ただ「阿吽」のみで終わらせられるのが私の理想だ。

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