上質で美しい残酷さを持って魅了する。

題名と英国が舞台に 誘われて、読み始めました。
二人、いえ 三人の人生が
一つは語り、もう一つは手紙という形で
巧みに 交差していきます。

憂鬱と孤独、そこかしこに 漱石の亡霊を感じながら
重たい雲が漂う 英国の空の下。

時に、リカードと譲の関係は
「こころ」の 先生と私の関係のようで
手紙は 先生の 長い遺書を 思わせる。

この小説に惹かれた訳を 表現できずに もどかしい。
言葉の一つ一つに 容赦ない品を 感じました。

もう1度読めば 少しは近付けるかもしれません。
静謐な ショパンを添えて。