突然すぎる魔竜降臨

第5章【魔軍侵攻】1節【混乱の前触れ】

炎歴4078年いにしえの月常春の日。

闇の手先が出現した数日後の蒼穹の館の様子である。第1級冒険者たちしか破れないような魔術スキルがかけられた小部屋でのこと。

「漆黒の巨龍…まだ生きてたのか。太古に出てきた特殊なものだといってもな」

「むしろ特別だから、かもしれません。大陸覇者べヒモス大海覇王リヴァイアサンも、同じ太古の怪物で記録には寿命は数千年を軽く越すとあります」

「まあ、生きていてもおかしくはないけど。それをどうしようというのかしらね?」

それからしばらくあの戦闘じけんの当事者4人で相談はなしあいが続き

、夕暮れの食事時が近づいてきた。

蒼穹の館内、魔水晶マジック・クリスタルが立ち並ぶ広間に今は、2つの長い食卓が設置され、その上には数々の料理が並んでいる。

いつも通り夕餉を食べているとき、バベルの方にいるギルドマスターのハイルから【伝書の玉石】に書文メッセージが送られてきた。

≪イルメリア郊外、セルバラの森北にて闇のモンスターが大量発生。討伐要請。≫

「あーこれ、特殊依頼オール・クエストじゃないの?」

「特殊依頼というよりか、緊急要請だな。この場合だと」

「セルバラの森って確か、奥地の薔薇女王ローズクィーン討伐にヘルメス・テラリアが向かってた森だよね?なんだかまずくない?」なぜ知っているのかというと、遠征に行く場合は、無限ダンジョン・都市外迷宮のどちらであろうとも、都市管轄機関カルミック・ギルドに事前報告しなければならない。同じギルドの分家であるスカイドラゴンハンターズギルドにも機関から通知が来る。

「しょうがないわね…じゃあ10人だけついていらっしゃい!いくわよ!」

ギルドの総所属人数はたった20人。いくら館自体に強力な魔術スキルがかけられているといっても、所詮は人の力。同じ人が破ることも可能なのだ。


色とりどりの装備を纏った10人が、迷宮都市イルメリア大街道ムスブルヘイムロードを突風を巻き起こしながら駆けていく。



次回→2節【突然の大破壊】              END



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