SFと音楽の未来――そして、全ての創作者の根源への物語。

近未来的なガジェットたちを、音楽をモチーフにすることで新しく見せる手法に目を奪われつつも――その物語の内容は、人の根源へと下りて行く探究的な物語。

なぜ音楽をするのか? なぜ音楽が好きなのか? なぜ何かをつくるの?

何かをつくり上げるとということの意味を、作者と共に探っていく物語の構造には、確かな構成力を感じさせる。『音楽がどこにあるの?』のサブタイ通り――その答えを僕たちはまだ知らないのだ。

そんな音楽をめぐる探求の物語で、これから先、主人公と彼の師である銀凛――そして、音楽を奏でるために創られたリリィの未来と、その辿りつく答えに耳を傾けながら、物語の結末を待ちたいと思う。

個人的な補足なのだが――この物語を読み終わった後にでも、物語のサブタイトルになっている名曲たちを聞いてみてほしい。My Favorite Things、When You Wish Upon a Star…この物語の世界により一層入り込めることだろう。

作者の素晴らしい選曲に精一杯の拍手を贈りたい。

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