谷崎の「文章読本」も一通り読み終えた卯月です。川端のはすぐに読み終えましたけど卯月的にはイマイチ。次は三島か丸谷か、井上ひさしのもいいらしいとか、中村真一郎のも興味がある。
谷崎ので、メインではない話題のところに気になる文がある。(表記は現代の漢字に改めてます)
「今日、われわれは音読の習慣を失つてしまひましたけれども、しかし全然声と云ふものを想像しないで読むことは出来ない。人々は心の中で声を出し、さうしてその声を心の耳に聴きながら読むのであることは、既に……」
文章を読むときって心の声が聞こえますよねという内容。文章を読む場合、男性なら男性の声(多くの場合自分の声)を想像するでしょ、と。でも作者が女性だと分かっていたら女性の声で、男性作者のものなら男性の声で聞こえますよねっていう話。
この心の声なるものをネットで探しても多くは速読関連の音声化しない方が速いよねという話題ばかり。それは今回は関係ない(最近はカクヨムでは意識的にページスクロールの速度を落としている卯月です。BANは恐し)。
海外での研究ですが、「読書中に文章を読み上げる声が頭の中で聞こえるかどうか調査した結果、約8割が「聞こえる」と。つまり「聞こえない」人も少数ながら存在するらしい。
その「読書中の声」がどのようなものかもあって、「自分の声と似た声色でピッチやトーンだけわずかに変わる」、「物語のキャラクターのイメージや文章を書いている相手によって声色が変わる」などいろいろ。
脳をMRIで調べた研究では、読者は頭の中で話し手を想像しながら「自発的なイメージ」を作ってその声を聞くことが多いと結論づけています。
卯月は子どものころ、読書に関わらず「若い女の人の声」が常に頭の中に共存していたと記憶しています。ある日その声が急に聞こえなくなって寂しく思ったのをはっきりと覚えています。それは母親の声でも妹の声でも、知り合い友だちの声でもなかったことは間違いありません。きっとこの脳内の何らかの働きで形成されたものなのでしょうけど。ファンタジーものを書く卯月的には妖精さんと一緒に生活していたいと思いたいところです(なんてメルヘンなおっさん!)。
速読の場合、文字情報を一気に映像処理まで持っていくイメージなので文章を読み上げる自分の声はかなり抑えられます。実際の卯月が物語を夢中で読んでいる状態はかなり多くの声が聞こえます。厳ついおっさん担当、美少女担当、イケメン担当などばお。恐らくアニメの声優さんの声が卯月の脳内で適切に割り振られているものと思われます。
みなさんの読むときの「心の声」ってどんな感じなのでしょうね。ちなみにこの卯月の近況ノートはどんな声で変換されているのか気になるところです。えっと、変態的に卯月の喘ぎ声で聞こえちゃうっていう変態さんはコメントをおひかえください(そんな人いないか……)
ひさしぶりにどうでもよいことが気になってしまった卯月でした。
では。